構想から23年余りを経て、全国でも珍しい市営の「神戸空港」〈マリンエア〉が開港したのは、2006年2月16日です。「山、海へ行く」と世界的に話題になったポートアイランドの完成とそれを記念して開かれた「ポートピア81」の博覧会で賑わった港島の、さらに沖に空港島はあります。
ポートライナーの三宮駅から、2つ駅を通過する快速に乗れば16分半で神戸空港駅に、改札を出ればわずか100歩で飛行機の見える待合室に着きます。この動線の短さ、便利さが神戸空港の魅力です。
三階建て(一部四階建て)の旅客ターミナルビルの、屋上展望デッキに上がってみましょう。ここには、神戸港から約25万人を送り出したブラジル移民の歴史にちなんで、ブラジルの国花「イベ」の木が使われています。デッキの施工を請け負った井上さん(兵庫区)とサンパウロの材木商中井さん(神戸出身でブラジル移住)が、何度も飛行機を乗り継ぎジャングルを飛び回り確保してくれたイベの材木でした。現在では、堅牢で虫のつきにくいイベの木はブラジルでも少なくなっているようです。
屋上からは、飛行機の離発着の様子はもちろん、六甲山の山並み、明石海峡、紀淡海峡とぐるり360度見渡すことができます。
心地よい響きのするイベの木のデッキを歩き、遠い異国の地に人生の夢をかけて旅立った多くの人たちにも、思いを馳せてみてください。
2014-1-24