六甲山系の東西に長い山懐には、11の山筋と、それぞれに毎朝登山を日課にしている登山会があります。7つの支部があるヒヨコ登山会(大正11年の創立)その他に、単独で毎朝登山を行っている登山会もあります。
因みに私は、職場に近くイベントなどに参加しやすいので、ヒヨコ登山会の布引支部に入っていますが、日頃から仲の良い人に誘われて、一王山登山会(戦後復活してから創立75年)の早朝ラジオ体操に時々参加しています。自宅から電車と始発のバスに乗り継ぎ約1時間、一王山と言っても市内屈指の低山ですので、臨済宗の古刹十善寺の境内に早朝散歩、市内で最も楽なアクセスといえます。
早朝にも関わらずご近所の方々、90歳を悠に越されている人から3歳の子どもたちなど、毎日境内いっぱいの40人以上の人が、詩吟や体操、モーニングしながら囲碁や雑談で朝のひとときを楽しんでられます。
境内にある「カミカ茶寮」は、まさしく、ここに集う人たちのオアシス的な存在です。創意工夫の効いた美しいトースト、それをお手伝いして運んでくれるのは、ご近所の小学生姉妹、そして何より豊永女将さん(かなり美人です)のひと愛。かつては、どこにでもあった昭和の風景が、しっかりと残っています。お節介でひとのお世話をを厭わない人たち、みんなで何かをすることの好きな人たち、子どもをあたたかに見守っている人たちの集う所、一王山。
今春、北上の時に寄ってくれた一王山に「旅する蝶」、アサギマダラが列島を南下する時も再びやってくるように、と富永さん、好物のフジバカマを生育中です。
2022-8-26
観光茶園「静香園」に行ってみよう!
急に思い立ち、緑色の空気を吸いたくなり、三宮から市バス2系統に乗り約15分。バス停で降りて犬のお散歩をしている人に「静香園」の方角を尋ねてみると、坂道一時間はかかって大変よ、と言われ、まずは怖じ気づきました。
住宅街の坂道の途中にある馬頭観音で有名な「妙高院」を横目に、摩耶山への登山道”青谷道”に入り、かなりの急な坂を、とにかくジグザグに歩きます。
川のせせらぎとウグイスの美声を心地よく聞きながら、約20分で、目指す「静香園」に着きました。
ここは神戸市内唯一の茶畑です。
明治の頃には、灘区原田通から中央区割塚通一帯が茶畑で、神戸の茶は横浜の生糸と並ぶ重要な輸出品で、神戸港か輸出額の半分を占めたこともありました。1976(昭和51)年に、ここ青谷に茶畑が開かれて、およそ100年ぶりに神戸に茶畑が復活したことになりました。
広い敷地に、まろやかな味が特徴のヤブキタ(品種)が約五千本が栽培されています。
入園はかりがね茶(茎茶)とお菓子付きで600円です。
初夏の風物詩となっている絣の着物に豆絞りを身にまとって新芽を摘み取る、茶摘み体験は、今年はまだ決まっていないとのことです。
しばしマスクを外して、深呼吸をし、深呼吸をして身体の隅々にまでみどり色の空気を吸い込んでみてください。
神戸の街に住み、憩う贅沢さを実感できる「静香園」あたりです。健脚の人は、青谷道をどんどん歩いて、摩耶山山頂までトライしてくださいね。
■「静香園」土日祝日のみ営業
予約は078-222-0007
2012-4-23
「ミナ ペルホネン / 皆川明 つづく」展
デザイナーの皆川明さんが設立したブランド、”ミナ ペルホネン”はフィンランド語で、私の蝶、という意味です。
ファッションからスタートした活動は、家具、絵画、建築模型から詩作まで生活全般に広がり、様々な角度から、皆川さんの25周年に亘る仕事が紹介されています。
展覧会の会場入り口の壁一面には、50センチ四方のクッションが330個飾られていて、その圧巻の風景に、まずは驚きました。いつも見慣れた近代美術館のコンクリートの壁に、花が咲き乱れているかのようです。
また「洋服の森」のコーナーには、1995年から2020年までの洋服390体以上が年代ごとではなく展示されています。短いサイクルで消費されついく服には背を向けて、時代を経ても長く愛用される服を目指している、という皆川さんの哲学が現れているコーナーです。
私が今回の展覧会で最も感動したのは、「洋服と記憶」のコーナーでした。
所有者からお借りした服15点を、それぞれの所有者の思い出と共に展示されていました。照明の落とされたその空間で、時に洋服が単なる洋服ではなく、その方々の人生そのものになっていることに、深く感動し自然に涙がこぼれおちました。
この展覧会では、皆川さんのイメージしたデザインは、多くの卓抜した職人さんの手により引き継がれて制作されていることが、丁寧に語り継がれています。
この時代に、今一度、丁寧に誠実に暮らし生きていくことの意味合いを問われた、かのような展覧会でした、
ミナ ペルホネン/皆川明 つづく
兵庫県立近代美術館
2020年7月3日(金)~11月8日(日)
日時指定の完全予約制
0782620901
ありがとう「タンタン」 王子動物園
神戸市立動物園のジャイアントパンダ「旦旦(タンタン、メス24歳)」、今年の7月に、といういよいよ中国からの貸与期限を迎え、中国に帰国することが決まっています。
動物園で一番人気の「タンタン」は、2000(平成12)年7月16日、震災後の神戸を元気づけるため中国からやって来ました。
これまで、2010年、2015年と延長されてきましたが、今回は、高齢となった「タンタン」を、体への負担が少なく多くの仲間が暮らす生まれ故郷で過ごさせたい、また、高齢パンダの飼育経験も豊かなので任せてほしい、という中国側からの申し出があり、生まれ故郷にかえってもらうことにした、という動物園側の判断でした。
しかし、このコロナ禍で、中国への直行便が運休しているために、猛暑の移動で暑さに強くないパンダに負担をかけてはならない、ということで直行便が再開されてからの秋以降に帰国する見込みになりそうです。
今は、動物園での公開は、同園のサイトから申し込みの上「タンタン」と最後のお別れができるようになっています。
「タンタン」が帰国するのを前に、市内で「ありがとうキャンペーン」が展開されています。
東遊園地の「こうべ花時計」がタンタン柄に植え替えられていたり、フラワーロードや元町大丸神戸みせあたりの120枚のバナーも「ありがとうタンタン」のデザインになっています。
またこのようなキャンペーン以外にも、神戸市民には馴染みの学習帳「神戸ノート」(長田区「関西ノート」が1952年から販売)に、約40年ぶりに新商品が出て、表紙に「タンタン」が採用されています。
「タンタン」柄の企画は昨年から企画が進められていて、表紙の「タンタン」の姿は2018年に撮影されて、岩に寝そべってリラックスするかわいい姿が収められています。
20年にわたり神戸の人たちに、元気を与えてくれた人気者「タンタン」に、別れを惜しみながら街のあちらこちらに、様々な表情の「タンタン」を見つけてみてください。
コロナのおかげで、少しお別れが延びたことに感謝しながら、街中のたくさんのバナーの中から、海苔を巻いたおにぎりにしかみえない、「タンタン」の後ろ姿二枚を探してみてくださいね??。
~坂道の風景~ 神戸文学館
神戸文学館は、1904(明治37)年に関西学院のチャペルとして建てられました。
以後、神戸大空襲で被災したり、「アメリカ文化センター」、中央図書館王子分室などさまざまな利用をされ歴史を刻んできました。外観をそのまま残して復元されたのは、1993(平成5)のことで「王子市民ギャラリー」として13年間親しまれました。
「神戸文学館」として生まれ変わったのは、2006(平成18)のことです。
その神戸文学館では、現在、企画展「坂道の情景〜神戸を描いた文学」(4月16日まで)が開催されています。
神戸は街全体が坂道といっても過言ではありません。文学者も、坂道を背景にした神戸の情景をたくさん描いています。
今回の企画展では、文学作品に登場する神戸の坂道を通じて、坂道に刻まれた情景が展開されています。
堀辰雄は港辺りから鯉川、トアロードのことを「旅の繪」の中で、宮本輝は「花の降る午後」の中で北野坂を書いています。
岡部伊都子は随筆の中で、
─神戸は坂の町です。
パンの匂いのする町です。─
と書いています。 私の好きな坂道はどの辺りだろう、かと思いながら文学館の美しい建物をあとにしました。
●平日10時〜18時
土・日・祝日9〜17時
休館日 水曜日
☎(882)2028
岡部伊都子(おかべいつこ)は「上方風土とわたくしと」─神戸の六甲山麓の本山(もとやま)に住んでいた時のことを書いている。このワンピースも愛用していた机と共に館内に展示してある。
D-journal H29年3月号より
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六甲山が大好きな人たち
阪急六甲駅を降りてすぐ北側に、神戸学生青年センターがあります。
古本市や集会、セミナーなどが行われている施設で、1972年に開館しました。
ここで、今年の4月から月に一回「六甲山専門学校」が開校しました。
といっても堅苦しい学校ではなくて、気軽に参加ができる楽しい講座です。
「もっと六甲山を知って欲しい。そしてもっと六甲山を楽しんで欲しい」という熱い思いで3人の六甲山が大好きな人たちが立ち上げた学校です。
長年、六甲山関連の貴重な絵はがきや資料を収集されている前田さん、2009年から灘区でアウトドア用品の「白馬堂ROKKO」を経営されていて「六甲摩耶」の地図の著者である浅野さんと、経験に基づいた生きた知識で、六甲山のガイドブックや自然観察本を数多く出版されているフリーライターの根岸さんが先生役です。
約20人くらいで、缶ビールやおつまみを食べながらの授業風景です。本やインターネツトでは得られない情報が、和気相合とした寺子屋のような雰囲気の中で学びとれる授業になっています。
参加者は、神戸だけでなく大阪や明石など近隣からも参加しています。
六甲山が好きな人たちによる講座に身を置いていると、六甲山がさらに好きになってきました。
参加費は一回1000円です。7月の講座はすでに定員に達していますが申し込みや問い合わせは白馬堂まで。
火、水曜休。
☎(841)89862016-6-22
神戸文学館
1904(明治37)年に原田の森に建てられた関西学院のチャペルが、現在の「神戸文学館」。原田村に創立された関西学院は、昭和4年に西宮市上ヶ原に移転しチャペルはそのまま残されました。その後、「市民美術室」「市立王子図書館」「王子市民ギャラリー」などとして市民に親しまれてきました。神戸大空襲や阪神・淡路大震災も乗り越えた゛市内に現存する最古のレンガ造りの教会建築物゛です。
さて、神戸文学館は、2006(H18)年12月4日に開設。近代に活躍した神戸ゆかりの小説家・詩人・文学者の原稿や縁の愛用品が展示されています。
今回の企画展は、「久坂葉子がいた神戸」です。久坂葉子(本名・川崎澄子)は、1931(昭和6)年神戸に生まれました。曾祖父は川崎重工の前身川崎造船所の創業者です。幼いころから、父親の影響でピアノ、絵画、俳句などに親しんでいました。17歳頃から詩作を始め、18歳で雑誌「VIKING」に参加し同人となります。19歳で同誌に掲載した作品が芥川賞候補になります。昭和27年12月31日に阪急六甲駅で、三宮発の特急電車に飛び込んで21歳の短い生涯を終えました。1983年に「久坂葉子展」がジュンク堂で行われて以来、文学館では初めての展覧会になります。
男爵家という名家に生まれ、昭和初期の香り高く、輝かしく、懐かしい時代を、悩みながらも駆け抜けていった久坂葉子という一人の短くも、懍とした生き様に触れてみてください。
2014-9-19