紅葉の名所

 

 

神戸の都心、中央区から近い所に、紅葉の美しい場所があるのをご存知ですか。
まずは、新神戸駅から歩いて約20分で「徳光院」に着きます。ここは川崎財閥の川崎正蔵さんが、1887年から1905年にかけて私財で建立した臨済宗のお寺です。重要文化財の多宝塔もあり、誰でもが行ける「徳光院市民公園」になっています。
近年、にわかに外国人観光客に注目されている「布引の滝」の雄滝茶屋からは、わずか数分の距離の所にあります。
さて、ここから貯水地を見ながら、森林浴ハイキング道をゆっくりと約一時間で「紅葉の茶屋」に着きます。昭和2年4月に創業されていて、4代目の土居悦子さんが迎えてくれました。
創業者の土居樟巳さんは有名な「鈴木商店」にお勤めされてここから馬で通われていたそうです。
紅葉の茶屋の名物は、”すき焼き”です。丁寧で吟味された材料に加えて女将さんのおもてなしが、隠し味になっています。
今年の紅葉の見頃は、11月の下旬くらいかなぁ、と言われていました。 爽やかな風や光を浴びながら、鳥の声を聞きながら、道端の雑草やアケビやイバラや欄などの名前を教えてもらいながら、愉しく来た道を下りました。
紅葉の茶屋
土・日・祝日のみ営業
鍋料理は予約
●(241)3667

2016-11-16

布引の滝

どこか涼しい所はありませんか?、と聞かれることがよくあります。
美術展や博物館以外に涼しい自然の所でおすすめが、「布引の滝」です。
新神戸駅の下をくぐり、ひとつ目の”雌滝(めんたき)”までは、わずか5分です。さらに、少し急坂な坂道を頑張ってずんずん登って行くと、ふたつめの”鼓が滝”の水音が軽やかに聞こえてきます。
一番奥の”雄滝(おんたき)”、”夫婦滝(めおとだき)”まで、新神戸駅から20分もあればつきます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

特に、雨上がりなどに行くと、高さ43メートルの雄滝の、5段に分かれて落下する美しい姿を間近で見ることができ、飛沫のシャワーを浴びることもできます。
平安時代から、多くの貴族や歌人が布引の滝を訪れて歌を詠んでいますが、開港されて以来、外国人も足しげく滝に来ています。
新神戸駅から、ほんの少し足を延ばすだけで、幽玄な世界が展開します。
また、雄滝のすぐ近くには、100年以上前からの貴族や雄滝茶屋があります。ちょっと一息汗がひくまで、滝を間近に眺めながら、美味しいおでんを頂くのも贅沢な時間の過ごし方かもしれません。

2016-7-22

六甲山が大好きな人たち

阪急六甲駅を降りてすぐ北側に、神戸学生青年センターがあります。
古本市や集会、セミナーなどが行われている施設で、1972年に開館しました。
ここで、今年の4月から月に一回「六甲山専門学校」が開校しました。
といっても堅苦しい学校ではなくて、気軽に参加ができる楽しい講座です。
「もっと六甲山を知って欲しい。そしてもっと六甲山を楽しんで欲しい」という熱い思いで3人の六甲山が大好きな人たちが立ち上げた学校です。
長年、六甲山関連の貴重な絵はがきや資料を収集されている前田さん、2009年から灘区でアウトドア用品の「白馬堂ROKKO」を経営されていて「六甲摩耶」の地図の著者である浅野さんと、経験に基づいた生きた知識で、六甲山のガイドブックや自然観察本を数多く出版されているフリーライターの根岸さんが先生役です。
約20人くらいで、缶ビールやおつまみを食べながらの授業風景です。本やインターネツトでは得られない情報が、和気相合とした寺子屋のような雰囲気の中で学びとれる授業になっています。
参加者は、神戸だけでなく大阪や明石など近隣からも参加しています。
六甲山が好きな人たちによる講座に身を置いていると、六甲山がさらに好きになってきました。
参加費は一回1000円です。7月の講座はすでに定員に達していますが申し込みや問い合わせは白馬堂まで。
火、水曜休。
☎(841)89862016-6-22

オリーブと神戸

 

北野町を歩いていると、メインストリートの北野坂や路地裏、またお洒落な店先にオリーブが植えられていることに気がつきました。
「オリーブを北野町のシンボルにしよう」と2013年から北野地区の住民の方々が取り組んだ結果、こつこつと増やし続けたオリーブの木は今では100本を越えました。
さて、北野町とオリーブの関わりを調べてみると、国内初の「国営神戸オリーブ園」が、外貨獲得のため北野に開園されたのは1879(明治12)年です。
約3000坪の敷地に、550本のフランス産のオリーブやゴムやレモン、ユーカリ、オレンジ、ブドウなどが植樹されましたが、特に北野の土壌に適応したオリーブだけがよく育ち、開園5年後には「神戸阿利襪園園」と改称されました。
開園から3年後には、国内で初めての食用油の搾油(さくゆ)に成功しています。しかし、西南戦争の影響を受けて政府の財政難から民間に払い下げられ、1896(明治29)年には閉園になっています。
オリーブ園の正確な所在地は長い間不明でしたが、神戸大学名誉教授の中西テツ先生が平成12年から地道な調査を開始、トアロード沿いの神戸北野ホテルや周辺にオリーブ園があった事がわかったのは、3年後のことです。
2015年6月2日、神戸北野ホテルの敷地に、往時の様子を伝える案内板と記念碑が設置されました。
当時の、ゆかりがあるとされるオリーブの一本は、今でも湊川神社にあり、見上げるような大木になっています。
その湊川神社の枝を接ぎ木した3本のオリーブ苗も植樹されています。

2015-6-26

神戸らしい日の出スポット

 

神戸には、山側や海側に、素晴らしい日の出スポットがたくさんあります。みなさんも、それぞれにお気に入りの場所をお持ちでしょうか。今回は、私のお気に入りの場所をご紹介したいと思います。
ー諏訪山公園
ビーナスブリッジー 元町駅の北側、標高180mに位置する諏訪山公園は、明治のはじめにできた公園です。明治7年に、横浜、長崎と共にフランスの観測隊により、金星の太陽面通過観測が行われたことに因み、公園内にある展望台は゛金星台゛と呼ばれています。市街地に近い所で景色が展開しているので、国際会館や市役所、ポートタワーといった身近な建物がよくわかり、楽しい展望台です。
ー神戸空港ー
三宮から、ポートライナーの始発から6本目の電車に乗りました。20分以内であっという間に空港駅に到着。ターミナルビルは金網越しなので、展望デッキに上がりましょう。ここの床はブラジルの国の花゛イベ゛の木を使っているので、歩くと心地よい音がします。空港からの日の出だから水平線から上がる、とつい思ってしまいがちですが、実は、生駒山、大阪湾の方向から上がってきます。しかし、すぐ目の前が海という゛海上空港゛ならではの絶景には違いありません。3階の早朝から開いているレストランやロビーで、ゆっくり暖かな所で眺められるのも、ここならではですよ。
ー灘丸山公園ー
平成2年に、神戸製鋼の野球場の跡地に作られた公園です。住宅街の最北端にありますから、急な坂道をフウフウしながら上がっていきます。大阪湾から神戸の市街地が、ワイドにバランスよく展開し見応えがあります。夜景鑑賞の聖地として有名ですが、映画やテレビののロケ地としてもよく使われています。
まだまだ他にもありますが、日の出の美しい所は、夕景や夜景も見事。 来年の初日の出は少し早起きしてみてください

街路樹

街歩きをすると時の私の楽しみの一つは街路樹を見ることです。
三宮から元町にかけては、私のとっておきの“街路樹スポット”があります。
大丸前のスクランブル交差点の辺りに、行灯(あんどん)のような形のぷっくりとしたハクモクレンが咲くと、春の兆しを感じることができます。
モクレンやコブシに紛れて気が付く人はほとんどいませんが“イペ”の木もあります。

実は、このイペの木はブラジルの国花です。2008年にブラジル移住100周年を記念して、鯉川筋に沿って7ヵ所に植樹されました。
鯉川筋は、かつて、海外への移住者が「旧海外移住センター」からメリケン波止場の乗船場まで、実際に歩いて通った道でした。
4月から5月にかけて、細い枝には不釣り合いな大きさの鮮やかな黄色の花をつけます道行く人は、
そのあまりに鮮やかで見慣れないイペの花を見上げながら、「何の木?」と話している光景を、私は何度も見かけました。
イペの木は、屋外での日差しや雨などにも強く過酷な環境にも耐えられるということで、ハーバーランドの海の広場のウッドデッキや神戸空港の展望デッキにも使われています。
鯉川筋で、黄色いイペの花に会うことができたならば、新天地での新しい人生の夢を抱いて神戸港から旅立った約25万人の人たちへ思いを馳せてみてください。

2013-4-19

彫刻の街 神戸

春が駆け足でやってきました。
市内のあちらこちら、摩耶ケーブル下、宇治川沿い、須磨浦公園…などの桜の咲き具合が気になって落ち着かないのもこの頃の心模様の一つですね。
そこで、今回は、いつでも、どんな時でも思い立った時にお散歩して美しいものに触れてもらおうと思います。
神戸は全国一とも言われる『野外彫刻の街』です。そのきっかけになったのは、1968年(昭和43年)に始まった「須磨離宮公園現代彫刻展」でした。その後、「神戸具象彫刻大賞展」も実施され、その優秀作品が市内に設置されました。街を舞台に飛び出していった彫刻たち。「花と彫刻の道」(新神戸フラワーロード)、「みどりと彫刻のみち」(神戸文化ホール~神戸駅)の他にも、講演や広場に約500点が設置されているんですよ。
それらの中でも、とりわけ私が気に入っている作品は、東遊園地の南東の端にある「虹の石」という彫刻です。‐虹の足というのはふ確かに美しき‐という後藤比奈夫さんの句が黒い御影石に刻まれています。32年前に完成したそれは、手水鉢のようにくり抜かれていて、溜まっている水の底の俳句に気が付いて足をとめる人は、ほとんどいません。景色の中に同化しさりげなく置かれているため、作品とは気づかないのかもしれません。 私は、税関前からフラワーロードの西側を歩く時には、木陰にひっそりと在るこの「虹の石」の水面から目をこらして句を眺めるのを愉しみの一つにしています。美術館なら触ったりできないような作品に、目の前で食堂を営む人が布巾をかけていたり、また、腰掛けていたりという光景をよく目にします。そんな光景を目にする時、私はなんと贅沢な街に暮らしているのだろうかと感じます。
神戸は、街全体が美術館のようなもの。自分だけのお気に入りの彫刻を探してみて下さいね。

2013-3-22