布引の滝

どこか涼しい所はありませんか?、と聞かれることがよくあります。
美術展や博物館以外に涼しい自然の所でおすすめが、「布引の滝」です。
新神戸駅の下をくぐり、ひとつ目の”雌滝(めんたき)”までは、わずか5分です。さらに、少し急坂な坂道を頑張ってずんずん登って行くと、ふたつめの”鼓が滝”の水音が軽やかに聞こえてきます。
一番奥の”雄滝(おんたき)”、”夫婦滝(めおとだき)”まで、新神戸駅から20分もあればつきます。

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特に、雨上がりなどに行くと、高さ43メートルの雄滝の、5段に分かれて落下する美しい姿を間近で見ることができ、飛沫のシャワーを浴びることもできます。
平安時代から、多くの貴族や歌人が布引の滝を訪れて歌を詠んでいますが、開港されて以来、外国人も足しげく滝に来ています。
新神戸駅から、ほんの少し足を延ばすだけで、幽玄な世界が展開します。
また、雄滝のすぐ近くには、100年以上前からの貴族や雄滝茶屋があります。ちょっと一息汗がひくまで、滝を間近に眺めながら、美味しいおでんを頂くのも贅沢な時間の過ごし方かもしれません。

2016-7-22

六甲山が大好きな人たち

阪急六甲駅を降りてすぐ北側に、神戸学生青年センターがあります。
古本市や集会、セミナーなどが行われている施設で、1972年に開館しました。
ここで、今年の4月から月に一回「六甲山専門学校」が開校しました。
といっても堅苦しい学校ではなくて、気軽に参加ができる楽しい講座です。
「もっと六甲山を知って欲しい。そしてもっと六甲山を楽しんで欲しい」という熱い思いで3人の六甲山が大好きな人たちが立ち上げた学校です。
長年、六甲山関連の貴重な絵はがきや資料を収集されている前田さん、2009年から灘区でアウトドア用品の「白馬堂ROKKO」を経営されていて「六甲摩耶」の地図の著者である浅野さんと、経験に基づいた生きた知識で、六甲山のガイドブックや自然観察本を数多く出版されているフリーライターの根岸さんが先生役です。
約20人くらいで、缶ビールやおつまみを食べながらの授業風景です。本やインターネツトでは得られない情報が、和気相合とした寺子屋のような雰囲気の中で学びとれる授業になっています。
参加者は、神戸だけでなく大阪や明石など近隣からも参加しています。
六甲山が好きな人たちによる講座に身を置いていると、六甲山がさらに好きになってきました。
参加費は一回1000円です。7月の講座はすでに定員に達していますが申し込みや問い合わせは白馬堂まで。
火、水曜休。
☎(841)89862016-6-22

香雪美術館辺り

阪神御影駅から、山の手に向かって、テクテク歩きました。JRの高架下を抜けると、弓弦羽神社の石柱があります。それから、まだ山手幹線を渡るとようやく参道が見えてきました。
旧郡家村・御影村の氏神で、榎・樟などが茂る境内の森は、昭和49年に市の保護樹林に指定されています。桜の花びらが舞い落ちる中、境内を抜けて「香雪美術館」を訪れました。
朝日新聞社の創業者・村山龍平(むらやまりょうへい)が収集した古美術品を元に、1973(昭和48)年に開館した美術館で、館名の「香雪」は村山の号です。現在、企画展「生誕110年・三岸節子展」が開催されています。三岸節子は、1905年に愛知県に生まれ、東京に出て女子美術学校(現・女子美術大学)を首席で卒業しています。洋画家・三岸好太郎と結婚しますが、好太郎は31歳で急逝。その後、3人の子どもを抱えながらの苦しい暮らしに直面しながら、画家として生きていきます。
94歳まで絵筆をとり続け、亡くなった時にも指には絵の具が付いていたそうです。93歳での大作「さいたさいた さくらがさいた」は迫力のある作品です。
美術館のお庭と共に、御影山手の閑静な雰囲気や見事な石の塀なども見所です。
■三岸節子展
〜5月15日まで
10時〜17時、会期中無休
☎(841)0652

2016-4-22

沖縄の島守 島田叡(あきら)氏のこと

島田叡(あきら)

須磨区出身、

西須磨小学校、

兵庫高校卒

 

 

一島田叡氏顕彰碑 除幕式に参加して一
神戸で生まれ、神戸で育った島田叡。第二次世界大戦末期、国の命令で沖縄に赴いた最後の知事です。
島田が内示を受けたのは昭和20年1月、その3ヶ月前に那覇市は空襲でほとんどの家屋が焼きつくされていましたから、当地へ赴くことは死にに行くようなもので、家族の反対を押しきり、単身での赴任でした。
米軍上陸の目前に、飢える県民のために台湾米を確保に奔走したり、疎開に尽力したりと住民と苦難を共にし、米軍の砲撃の下県職員らと壕を転々と敗走しました。
6月、後方に大平洋が広がる激戦地、糸満市の摩文仁のあたりまで追い詰められて消息を絶ちました。
島田の没後70年を前に、2013年から協力を呼び掛けられて、三万人以上の署名と一千万円近くの寄付が集まり、「顕彰碑」が建立されました。
6月26日気温31度の南国の夏空の下、那覇市奥武山公園(おうのやまこうえん)で、井戸敏三兵庫県知事と翁長雄志沖縄県知事、久元神戸市長、また島田の出身校旧制神戸二中(現県立兵庫高校)の関係者ら約400人が出席して除幕式が執り行われました。
那覇高等学校合唱部(女声)による献奏が流れてくると、ぬけるような青い空とは裏腹の、美しく物悲しい旋律に思わず涙が溢れてきました。
この日は、島田叡が僅か五ヶ月足らず、沖縄最後の官選知事として赴き、もはやこれまで、と自決したといわれている日です。

4年前より兵庫県教育委員会から中学生に配布している道徳の副読本「心かがやく」では「戦場の県知事島田叡さん(陳舜臣氏執筆)」を掲載。中学生がいる家族の人はぜひ一緒に読んでみてください。市内各図書館でも閲覧できます。

2015-7-17

オリーブと神戸

 

北野町を歩いていると、メインストリートの北野坂や路地裏、またお洒落な店先にオリーブが植えられていることに気がつきました。
「オリーブを北野町のシンボルにしよう」と2013年から北野地区の住民の方々が取り組んだ結果、こつこつと増やし続けたオリーブの木は今では100本を越えました。
さて、北野町とオリーブの関わりを調べてみると、国内初の「国営神戸オリーブ園」が、外貨獲得のため北野に開園されたのは1879(明治12)年です。
約3000坪の敷地に、550本のフランス産のオリーブやゴムやレモン、ユーカリ、オレンジ、ブドウなどが植樹されましたが、特に北野の土壌に適応したオリーブだけがよく育ち、開園5年後には「神戸阿利襪園園」と改称されました。
開園から3年後には、国内で初めての食用油の搾油(さくゆ)に成功しています。しかし、西南戦争の影響を受けて政府の財政難から民間に払い下げられ、1896(明治29)年には閉園になっています。
オリーブ園の正確な所在地は長い間不明でしたが、神戸大学名誉教授の中西テツ先生が平成12年から地道な調査を開始、トアロード沿いの神戸北野ホテルや周辺にオリーブ園があった事がわかったのは、3年後のことです。
2015年6月2日、神戸北野ホテルの敷地に、往時の様子を伝える案内板と記念碑が設置されました。
当時の、ゆかりがあるとされるオリーブの一本は、今でも湊川神社にあり、見上げるような大木になっています。
その湊川神社の枝を接ぎ木した3本のオリーブ苗も植樹されています。

2015-6-26

神戸ファッション・ウィーク

〝ファッション都市・神戸〟の魅力を発信する

イベント「神戸ファッションウィーク2015春夏」が始まりました。

今年で18回目になる今回のテーマは「evolution」です。

「神戸の街をもっと元気に」という想いを込めて開催しています。
神戸を愛する経営者が実行委員会となり、

企業・ショップ・行政などに呼びかけて、

神戸を楽しんでもらおうと趣向を凝らし様々なイベントを行っています。

まずは、情報が満載の〝公式ガイドブック〟を手に入れてください。
例えば、食の分野では、ファッションウィーク参加店舗より、

新メニューの提案があったり、注文の際にガイドブックを提示すると

お得な特典でおもてなしをしてくれます。
また、美容・健康では、

停泊中のコンチェルトのデッキで朝ヨガが体験できます。
期間中、コンチェルト、ルミナス神戸が特別料金で

乗船できますので、

観光にも使うことができます。
異業種や同業他社が垣根を越え、

様々な角度からおもてなしを考え、街の活性化に向けての取り組みをしています。
青い表紙で大人気のコーベアーのガイドブックを、

いつもバッグに潜ませて、神戸の街歩きをしてみてください。

新しい発見がありますよ。
神戸ファッションウィークは、4月5日まで開催しています。

神戸文学館

1904(明治37)年に原田の森に建てられた関西学院のチャペルが、現在の「神戸文学館」。原田村に創立された関西学院は、昭和4年に西宮市上ヶ原に移転しチャペルはそのまま残されました。その後、「市民美術室」「市立王子図書館」「王子市民ギャラリー」などとして市民に親しまれてきました。神戸大空襲や阪神・淡路大震災も乗り越えた゛市内に現存する最古のレンガ造りの教会建築物゛です。
さて、神戸文学館は、2006(H18)年12月4日に開設。近代に活躍した神戸ゆかりの小説家・詩人・文学者の原稿や縁の愛用品が展示されています。
今回の企画展は、「久坂葉子がいた神戸」です。久坂葉子(本名・川崎澄子)は、1931(昭和6)年神戸に生まれました。曾祖父は川崎重工の前身川崎造船所の創業者です。幼いころから、父親の影響でピアノ、絵画、俳句などに親しんでいました。17歳頃から詩作を始め、18歳で雑誌「VIKING」に参加し同人となります。19歳で同誌に掲載した作品が芥川賞候補になります。昭和27年12月31日に阪急六甲駅で、三宮発の特急電車に飛び込んで21歳の短い生涯を終えました。1983年に「久坂葉子展」がジュンク堂で行われて以来、文学館では初めての展覧会になります。
男爵家という名家に生まれ、昭和初期の香り高く、輝かしく、懐かしい時代を、悩みながらも駆け抜けていった久坂葉子という一人の短くも、懍とした生き様に触れてみてください。

2014-9-19

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神戸空港 誕生から8年

構想から23年余りを経て、全国でも珍しい市営の「神戸空港」〈マリンエア〉が開港したのは、2006年2月16日です。「山、海へ行く」と世界的に話題になったポートアイランドの完成とそれを記念して開かれた「ポートピア81」の博覧会で賑わった港島の、さらに沖に空港島はあります。

ポートライナーの三宮駅から、2つ駅を通過する快速に乗れば16分半で神戸空港駅に、改札を出ればわずか100歩で飛行機の見える待合室に着きます。この動線の短さ、便利さが神戸空港の魅力です。
三階建て(一部四階建て)の旅客ターミナルビルの、屋上展望デッキに上がってみましょう。ここには、神戸港から約25万人を送り出したブラジル移民の歴史にちなんで、ブラジルの国花「イベ」の木が使われています。デッキの施工を請け負った井上さん(兵庫区)とサンパウロの材木商中井さん(神戸出身でブラジル移住)が、何度も飛行機を乗り継ぎジャングルを飛び回り確保してくれたイベの材木でした。現在では、堅牢で虫のつきにくいイベの木はブラジルでも少なくなっているようです。

屋上からは、飛行機の離発着の様子はもちろん、六甲山の山並み、明石海峡、紀淡海峡とぐるり360度見渡すことができます。
心地よい響きのするイベの木のデッキを歩き、遠い異国の地に人生の夢をかけて旅立った多くの人たちにも、思いを馳せてみてください。

2014-1-24

彫刻の街 神戸

春が駆け足でやってきました。
市内のあちらこちら、摩耶ケーブル下、宇治川沿い、須磨浦公園…などの桜の咲き具合が気になって落ち着かないのもこの頃の心模様の一つですね。
そこで、今回は、いつでも、どんな時でも思い立った時にお散歩して美しいものに触れてもらおうと思います。
神戸は全国一とも言われる『野外彫刻の街』です。そのきっかけになったのは、1968年(昭和43年)に始まった「須磨離宮公園現代彫刻展」でした。その後、「神戸具象彫刻大賞展」も実施され、その優秀作品が市内に設置されました。街を舞台に飛び出していった彫刻たち。「花と彫刻の道」(新神戸フラワーロード)、「みどりと彫刻のみち」(神戸文化ホール~神戸駅)の他にも、講演や広場に約500点が設置されているんですよ。
それらの中でも、とりわけ私が気に入っている作品は、東遊園地の南東の端にある「虹の石」という彫刻です。‐虹の足というのはふ確かに美しき‐という後藤比奈夫さんの句が黒い御影石に刻まれています。32年前に完成したそれは、手水鉢のようにくり抜かれていて、溜まっている水の底の俳句に気が付いて足をとめる人は、ほとんどいません。景色の中に同化しさりげなく置かれているため、作品とは気づかないのかもしれません。 私は、税関前からフラワーロードの西側を歩く時には、木陰にひっそりと在るこの「虹の石」の水面から目をこらして句を眺めるのを愉しみの一つにしています。美術館なら触ったりできないような作品に、目の前で食堂を営む人が布巾をかけていたり、また、腰掛けていたりという光景をよく目にします。そんな光景を目にする時、私はなんと贅沢な街に暮らしているのだろうかと感じます。
神戸は、街全体が美術館のようなもの。自分だけのお気に入りの彫刻を探してみて下さいね。

2013-3-22

神戸花物語

寒さの角が取れ、どことはなしに春の気配がしてきました。毎日眺めている六甲山も笑いかけているようです。異人館、居留地に代表される神戸ですが、「神戸ブランド」として誇るべきもののひとつに「花」があるのを知っていますか。
神戸市域の1/3占める北区、西区には豊かな農業エリアが広がり、花の栽培にも適した温暖な気候に恵まれ、花の生産が行われています。
伊川谷町(西区)での切り花の栽培は、明治初年から始まっていますから100年以上の歴史があります。また、淡河町(北区)では、昭和28年に「新鉄砲ゆり」を導入。その後、系統を選び交配を重ねた結果できた「ミスオーゴ」などのオリジナル品種を育てるのに成功し、これは門外不出として商標登録もされました。洋花のユリの代表のような「カサブランカ」と比べた違いを尋ねてみると、淡河の新鉄砲ユリは1本の枝に3~5輪の花がつき、それらが下向きに咲くのではなくやや上向きに咲き、横から見たその姿はまるでラッパのようでもあり、清楚で涼しげ、凛とした風格はため息が出るほどの美しさと…、褒め言葉は止まりません。そんな「淡河の鉄砲ユリ」は7月から出荷開始。(10月位まで)どこかで是非、一目見てくださいね。
ユリが終わるとチューリップの出番です。これも今から60年以上も前に富山県から球根を仕入れ取り組み始めたのがチューリップ生産の発端となりました。その後、貿易の自由化に伴いオランダから球根の輸入もし、今年は181品種80万本ものチューリップが出荷されています。
神戸は、冬場も好天に恵まれることから、花は大きく色鮮やかなだけでなく、葉の色までも鮮やかで、市場の仲買人さんたちの評価は高く人気があり、全国的にも折り紙つきの品質だそうです。パンや洋菓子に、神戸産の花を添えてのプレゼントも、神戸らしさがプラスされた素敵な贈り物だと思いませんか。
今「花物語」として神戸の花全体のブランド化が進められり、神戸市内産のお花を扱っている小売店は東灘区や中央区に10店舗あります。3月1~3日に、ハーバーランド「デュオドーム」において行われるイベント「神戸花物語」には、切り花、鉢物併せて2万本の花で溢れています。会場では、「これがチューリップ!?」と目を見張るたくさんの可愛らしい花と、それらを愛しみ大切に育てた生産者の方々にも会えますよ。