神戸には、観光の名物がたくさんありますが、中でも「シティー・ループ」バスはその代表的なものでしょうか。
その経緯を辿ってみると、1983(昭和58)年にはすでに提案がなされ、バスそのものが観光の名物になり、かつ市民の利便性にも繋がるように、ということが目的に掲げられていました。
“坂の街サンフランシスコ”に視察に行き、同じく坂の多い神戸にも相応しいのではないかと思った、という話はバスの計画に携わった、当時の経済界の関係者から聞いたことがあります。
その後、1987(昭和62)には、神戸開港120年祭の期間中に都心の周遊バスとして限定で試走しています。
ネーミングの公募で名前を「シティー・ループ」に決定して、いよいよ運行が始まったのは1990(平成2)年です。
着想から振り返ると、「シティー・ループ」には、実には34年の歴史がありました。
他の都市に先駆けての運行でしたから、後に、旅先の京都や尾道などで同様のバスを見かけた時には、何やら誇らしい思いすら感じました。
シックな緑を基調にした車体のデザインは、走る異人館と言われています。
車内のガイドさんの制服は、帽子も靴もセンスの良い神戸ファッションで揃えられています。
今や、神戸に来たらまず「シティー・ループ」に乗りたい、という世界中からの観光客で、連休や夏休みなどは、長蛇の列です。
北野町に住まれている人も、お買い物の帰りの足として利用されていて、まさしく、当初の理念どおり日々の暮らしの中で市民にも活用されています。
この夏には、開港150年で公園として整備されたメリケンパークに、期間限定で走る計画も予定されています。
遠方からひさびさの友人が来る、神戸での同窓会の幹事を引き受けた、というような時、「とりあえずループバスに乗ってみよう?」、というのも神戸っこに定着してきました。
「シティー・ループ」は、神戸にとってなくてはならない存在になりました。
2017-6-23