「神戸人形」の話

 

「神戸人形」を覚えてられますか?
かつては、「神戸人形」を売っていたお店が市内に何軒かありましたが、今では店頭で売っているお店はなくなってしまいました。
「神戸人形」は、明治時代の初めくらいに神戸で誕生したからくり人形です。
奇抜なデザインの人形が小さな台の上に乗っていて、つまみを回すと、スイカを食べたりお酒を飲んだり、首を傾げる仕草をしたり口を開けたりして、見れば見るほど滑稽です。
この台の中には、だいたい6本から8本くらいの糸が仕掛けとなって入っています。ちょっとした精密機械のようです。
神戸っ子だけでなく、神戸を訪れた外国人にも人気があり、たくさんの「神戸人形」が、世界に旅だっていきました。
一体誰がこのような人形を考えて作り初めたのか、諸説ありはっきりした資料もないのと、これまで何度となく作る人が亡くなったりで廃絶の危機もありました。
かつて、一般的に広く普及していたのは、戦後に「神戸人形」を初めて再現した”キヨシマ屋”さんので、私が持っている2体もキヨシマ屋さんのです。
これまでも、このユニークなからくり人形を残して継承していかなければ、という人たちの熱意で守られて、奇跡のように今まで伝承されてきました。
現在、「神戸人形」を深く検証し研究した上で制作をされているのが、ウヅモリ屋・吉田太郎さんです。
地道で丹念な作業をしながら、「神戸人形」を確実に次世代へ繋いでくれています。
今、「神戸人形」を入手できる所は、日本玩具博物館、キイトとウヅモリ屋さんのインターネットでだけです。
旧き良き時代の、神戸ならではのからくり人形が、若い作家さんの手で残され継がれていくことに、感動しながら、手元の人形の愛らしい仕草を眺めています。

2017-7-21

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