気になっていたことが整頓できて、やれやれ自分にご褒美がしたい、と思った週末。私の足は、やはり自然に乙仲通りに向きます。
元町商店街から南京町を抜けると、さらに南側に平行して「栄町通」があります。開港後の1872(明治4)年に、この地が栄えますように、という願いの元に名付けられた栄町です。1909(明治43)年に市電が走り始めると、銀行や証券会社が軒を連ね経済の中心地になり「東洋のウォール街」と呼ばれるほど栄えました。
その栄町通と国道2号とに挟まれた東西約1㎞の通りが「乙仲通」です。栄町通りと共に貿易会社や港湾運送業者などで賑わっていたようてす。聞きなれない「乙仲」は税関で貨物を扱う事業者の略称で、この法律で定められた職種も戦後廃止されましたが、今でも乙仲が俗称として受け継がれているところが、この界隈の面白さの原点かもしれません。
さて、お昼時分はとっくに過ぎていて、どのお店もお目当てのランチは終わっていて、でも何かちゃんとした食事がしたい時に「喜八」さんの暖簾をくぐります。1912(大正元)年4月1日創業で現在4代目。栄町から乙仲辺りの栄枯盛衰を見続けている貴重な生き証人と思わせる設えの店内、映画のセットのようです。
昼頃から夕方くらいまでの営業、日替わり料理がお重箱で出てきます。奇をてらうこともなく、どれもこれも手抜きのない品々、仕出し、か小料理屋さんで食べている感じで贅沢な900円です。
2022-09-30