歓迎会での発言を理由とする内定取消

日本は、会社側から労働者を解雇するのが難しい国だといわれます。

内定取消についても、事実上他社への就職可能性を著しく減少させることから厳しい要件が課されており、①内定当時知ることができなかった、または知ることが期待できなかったような事情で、②内定取消するに合理的かつ社会的に相当と認め得うる事情のみが、内定取消事由になるとされています。

逆に、これらの要件を満たすのであれば、飲酒を伴う飲食店における歓迎会という、比較的フランクな場における言動であったとしても、内定取消につながることがあります。実際、歓迎会の席で、①その会社に入ったのは他より早く内定が出たからに過ぎないなどといい、②先輩達を呼び捨てにし、③会社の方針と自分の考えが違うときには、当然に自分の考えに従って行動するなどと述べたことなどをとらえて、会社の規模が小さく、協調性や円滑なコミュニケーションがより重要であることなどと併せて、内定者が後に謝罪したことを考慮してもなお、内定取消を有効とした裁判例などもあります。

近年、中途採用や秋採用も増えており、今の時季にも内定を受け、試用期間、本採用を控えている方も多いと思います。もちろん、常識の範囲内で普通に振舞っていれば大丈夫なのですが、ちょっとした気の緩みでこれまでの努力を無駄にすることもないとはいえません。節度をもったコミュニケーションを心がけてください。

2023-8

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