およそ40年来の友人、門前善康さんが句集を出版されました。
故時実新子さんに師事したのは、1995年の阪神・淡路大震災がきっかけでした。
「冬の雲仮設の窓にチマ・チョゴリ」
と詠んだ句が、公募していた震災に関する多くの作品の中から入選。
以来、本格的に創作を始めた門前さん、既に2冊の句集を出版されてい
て「一句一献」は3冊目になります。今回は、好きなお酒を兼題(テーマ)
に6部構成になっていますが、いつもの、居酒屋さんでの門前さんの
チャーミングな横顔がそこかしこに見え隠れしていて、愉しい17音字の日
常日記になっています。
「ほろ酔いの着ぐるみを着て告白す」
お茶目なだけではありません、地元サンテレビで報道、制作部門を担当され、最前線で修羅場を潜り抜け神戸を代表するメディアの人として生きて来られた門前さん
「戦場も平和の場にも酒は在る」
どこかで、秘めた恋があったのか、なかったのか
「吟醸の恋は一生掛けて飲む」
いつもおしゃれで粋ないで立ちで、バッグから小さな文具に至るまで拘
りの人ですが、それは、大きなイベント、展覧会、音楽会など様々な場面で
も同様に、名プロデューサーとして芸術的なセンスを隅々にまで発揮され
る人でもあります。
「わたくしが私を論破する酒場」
いえいえ周りも論破してますよ、門前さん美しく脆いクリスタルガラス製の
キャタピラー、のような門前さん
「饒舌になるため酒を飲んでいる」
とんでもないです、あなた、いつも饒舌でしょう、スマホ片手に、門前さん。
生き方を重くも軽くも練り込んだ素敵な川柳作品集で、17字を駆使した
小さな宇宙で遊んでみたいなぁ、と思って、私も指を折っています。
2023-5