花時計 ~街中の名脇役~

神戸市内には、街の移り変わりを、密やかに見つめているものがいくつかあります。
その中のひとつが「花時計」で、1957(昭和32)年から、60年以上にわたり神戸の街を彩ってきました。待ち合わせや観光の名所として、また、居留地への道案内には欠かせない目印として大切な役割を担ってきました。
花時計誕生のきっかけは、宮崎辰雄元市長(当時は助役)欧米出張でした。その時に4つの花時計に出会いましたが、そのうち、ぜひ神戸の街にも同じようなものを造りたい、とモデルにしたのはスイス・ジュネーブのイギリス公園にあった花時計でした。 何しろ前列がなく、まずは海外からの情報収集から始まり、調査や研究が重ねられました。 文字盤が直径6mという大型時計も、当時圏内にはありませんでした。その上、傾斜角度15度の傾いた文字盤の上が 花壇になるということで、機械室の防水や防湿といったことも 含め様々な問題が山積でした。使う花についても、条件はたくさんあり、植え替えをする度 に必要な数千株の花がそれほど高価ではなく入手しやすいこと、時計の針の動きを邪魔しないような低い丈で、丈夫で長持ちすることなどです。
フラワーロードに面した神戸市役所の新庁舎(現在・2018年10月・の2号館)の 完成と同時に始動式が行われました。高松宮妃殿下が始動のボタンを押されると、チャイムが鳴り響き3000人の市民からの拍手と150羽の鳩、1000個の風船が舞い上がったそうです。
その「花時計」は、市役所の建て替えに伴い、仮説されるのでここにあるのは11月下旬まで。
神戸の60年を刻み続けた「花時計」。いつもここにあった、ということを脳裏に刻みつけておこう、と思います。

2018年10月

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