東灘区にある「香雪美術館」は、朝日新聞社の創業者・村山龍平(むらやまりょうへい)が収集した古美術品などを収蔵する美術館として、1973(昭和48)年に開館しました。
香雪というのは、村山龍平の号です。
1850年、現在の三重県に生まれ、21歳で大阪に移り住み29歳で「時代を啓蒙する仕事がしたい」と、朝日新聞を創刊しました。
もともと美術に関心があったこともあり、開国後、多くの価値ある美術品がどんどん海外流れていくのを目の当たりにして、それを食い止めたいと思いました。
そこで自ら、刀剣や仏画など日本・東洋の古美術品の名品を集めることに力を注ぎました。
昭和8年に亡くなった村山の没後40年に、香雪美術館は開館しています。
館蔵品は毎年春と秋に「コレクション展」として公開されています。
現在、江戸時代の絵師・円山応挙とその弟子の作品を集めた「応挙と円山四条派」が開かれています。
応挙は、京都の亀岡の農家の次男として生まれました
動植物を細かく観察して、ありのままを描く「写生」を大事にしました。
それまでは、皇族や武士という一部の階級の人たちだけのものだった美術品を、江戸時代の富裕な商人たちにも受け入れられ、生活の中に絵画が取り入れられるようになったのは、応挙以降のことです。
今回は、応挙が特に得意としたクジャクとコイの作品を中心に展示されています。
二階に展示されている鮮やかな孔雀は、生きているかのようで、目を凝らしてみると、一本づつの羽や毛のリアルさに驚きます。
また、私が一番気になったのは、長い棒に描かれた「啄木鳥図」でした。
クセがなく、誰からも好かれ、教えるのがうまいのでたくさんの弟子を育てた応挙の、遊び心をみてとれる作品だと思いました。
香雪美術館で、自分流の時間を過ごしてみてくださいね。
応挙の作品は、自分の部屋の設え品ーなどと空想しながら…。
庭の緑鮮やかな苔も…。