1904(明治37)年に原田の森に建てられた関西学院のチャペルが、現在の「神戸文学館」。原田村に創立された関西学院は、昭和4年に西宮市上ヶ原に移転しチャペルはそのまま残されました。その後、「市民美術室」「市立王子図書館」「王子市民ギャラリー」などとして市民に親しまれてきました。神戸大空襲や阪神・淡路大震災も乗り越えた゛市内に現存する最古のレンガ造りの教会建築物゛です。
さて、神戸文学館は、2006(H18)年12月4日に開設。近代に活躍した神戸ゆかりの小説家・詩人・文学者の原稿や縁の愛用品が展示されています。
今回の企画展は、「久坂葉子がいた神戸」です。久坂葉子(本名・川崎澄子)は、1931(昭和6)年神戸に生まれました。曾祖父は川崎重工の前身川崎造船所の創業者です。幼いころから、父親の影響でピアノ、絵画、俳句などに親しんでいました。17歳頃から詩作を始め、18歳で雑誌「VIKING」に参加し同人となります。19歳で同誌に掲載した作品が芥川賞候補になります。昭和27年12月31日に阪急六甲駅で、三宮発の特急電車に飛び込んで21歳の短い生涯を終えました。1983年に「久坂葉子展」がジュンク堂で行われて以来、文学館では初めての展覧会になります。
男爵家という名家に生まれ、昭和初期の香り高く、輝かしく、懐かしい時代を、悩みながらも駆け抜けていった久坂葉子という一人の短くも、懍とした生き様に触れてみてください。
2014-9-19