任意後見契約 その2

先月、「任意後見契約」について掲載させて頂いてから、何人もの方からお問い合わせを頂きました。みなさんが「任意後見契約」について大変高い関心をおもちだということが実感として伝わってきましたので、今月は、実際にご相談させて頂こうと思います。

まず、この度ご相談頂いた方は、ほとんど全員が「自分が任意後見契約を検討している」という方ではなく、「親に任意後見契約をして欲しいと思っている」という方ばかりでした。しかし、任意後見契約は、あくまでも「契約」ですので、ご本人が「その気」になることが必要です。もし、周囲の方が任意後見契約の必要性を感じてられるのであれば、きちんとご本人を説得して頂く必要があります。

また、任意後見人には、弁護士などの職業後見人ではなく、親族がなることもできるのかというご質問も多く頂きました。結論から言うと可能です。
また、任意後見人に対しては、裁判所が「任意後見監督人」という人を選任して監督しますので、親族の一人が任意後見人になった場合でも、ある程度校正な処理が期待できます。職業後見人に対しては報酬を払わなくてはならないことが通常でしょうから、その必要がないというのも、親族が任意後見人になるメリットだといえるでしょう。

もっとも、そうは言っても、紛争の予防という趣旨からすれば、後に相続人になりうる親族が任意後見人になるよりは、利害関係のない第三者がなる方が、その趣旨を徹底できると言えます。また、馴れた人間の方が、各種手続きがスムーズであるということもいえます。これらのメリットデメリトを総合的に考慮して、誰を後見人にするのかを検討して頂くことになります。

 

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兵庫県弁護士会所属  弁護士  佐々木  伸

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