弁護士業務とは別に、保護司という、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティアとして活動しています。法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員という立場ですが、給与は支給されません。主には、満期前仮釈放された人や、保護観察付執行猶予判決、あるいは少年事件における保護観察処分を受けた人の保護観察を担当したり、刑事施設や少年院からの社会復帰に備え、就業先などの帰住環境の調整をする環境調整という仕事をしたりしています。また、保護司会の活動を通じて、更生保護の必要性をみなさんに理解してもらうための取り組みもしています。
弁護士業務における刑事弁護と同様に、保護司の活動も、「なぜ悪いことをした人の味方をするの?」とよく聞かれます。刑事弁護の方は適正な手続が実施されているかを監視する意味合いも大きく、趣旨は異なる部分も大きいのですが、ひとことで言うと、「それがみんなの安心安全につながるからだ」と考えています。地域に馴染めず仕事も続かずということになれば、社会復帰しても生活することができず、再び犯罪に手を染めてしまうということにもなりかねません(実際、そういう例は多くあります。)。薬物犯罪以外では基本的に被害者が存在しますので、再犯が増えた分だけ、被害者も増えることになります。加害者も被害者も少しでも減らせるように、という思いで保護司の仕事をしています。
どんな活動も、目に見えて成果が出ることなどまずないのですが、それでも、このコーナーと同様、細々とでも継続することが大切だと思っています。最近では映画化もされましたので、保護司の仕事と更生保護について、少しでも関心を持っていただければ嬉しく思います。
2023-6