コロナ禍により推し進められた感のあるテレワークですが、他方で揺れ戻しというか、オフィス回帰も見られるところで、総論的な評価は難しいところです。私個人としては、選択肢が増えたということ自体は歓迎すべきことだと考えていますが、情報流出と、労働時間管理の問題は大きいと考えています。そして、前者が技術的な問題であることからすると、特に後者が気になります。
現状、テレワークによる労働時間管理は、日報の提出やパソコンのログ、定時連絡、場合によってはGPS等を用いてなされていると言われています。会社にいるときと同様に管理しようという発想になれば自ずとこういう手法になるでしょうし、労使双方とも馴染みやすいところはあるのかも知れません。
他方、もういっそのこと「きちんと仕事してくれればいいよ」ということで成果主義に振れる向きもあるようですが、それはそれで評価の客観性であったり、逆に客観的であろうとして定量的な要素しか評価にのってこなかったりで、問題は少なくないと思います。
そうすると、個人的には、テレワークにも、「事業場外みなし労働時間制(従業員の業務が会社の外で行われるために会社が従業員の労働時間を把握することが難しい場合に、あらかじめ決められた時間働いたとものみなす制度)」を導入することが一番しっくりくるし、法の趣旨にも適うように思えます。せっかく家にいるのにお子さんを病院に連れて行く1時間のために有給を取るというのもナンセンスですので、時間には拘束されず、さりとて成果主義でもないこの制度は、非常に使い勝手がいいように思えます。
もっとも、テレワークは、上記のような手法により労働時間を把握することが出来るということになってしまうと、「従業員の労働時間を把握することが難しい場合」に該当しないということになってしまい、この制度は使えなくなってしまいます。柔軟な解釈もしくは立法による手当が検討されてもいい頃ではないでしょうか。
2020-11