相続税の課税対象を考える

自分名義の自宅に長男家族と同居している両親が亡くなった場合、遺言がなければ相続人(ex.長男・次男)の間で、どのような話し合いがされるでしょうか。きっと、長男は、住み慣れた「自宅の土地建物を相続したい。」と言い、次男は、「土地建物の半分に相当する現金をくれ。」と言うことでしょう。しかし、長男に相応の現金がなければ、家を売却ということもありえます。
また、事業をしている父親が、後継者である長男に自分が持つ自社株を全て引き継がせたいと考えたとします。この場合も先の例と同様、次男がいれば、次男に相続分の半分にあたる財産(現金)を渡さなくてはなりません。そうせずに、兄弟で同様に株を相続させてると、父親の死後、会社の意思決定が滞る可能性が出てくるからです。その場合、業績のいい会社の株は高く評価され、その総額の半分に相当する現金が調達できないことも、ままあります。
このように、トラブルになることが多いと言われる相続でも、相続財産の大半を占めるものが「相続人の一人が居住している不動産」や「自社株、及び事業用資産」の場合は、それなりの現金がなければ、円満な解決にはなりにくい事案であるといえます。
また、相続税法改正により、平成27年1月1日以降、相続税の課税対象案件が拡大、相続税支払のための現金が必要になるケースも増えています。このような現金需要に対しては、生命保険の保険金は基本的には相続財産に含まれない、というルールを利用し、右記の事案における長男を受取人とする生命保険に加入しておく、というのが合理的な解決の一手段になる場合があります。
相続問題は、遺産分割ルールを含む「民法」、相続税を中心とする「税法」、そして現実的な資金調達についての知識が必要になることがあります。信頼できる専門家に、お早めにご相談されることをお勧めします。

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兵庫県弁護士会所属  弁護士  佐々木  伸

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