地方自治法改正

今年の3月1日に、地方自治法改正案が国会に提出されることが閣議決定されました。改正法の内容は、大規模災害や感染症のまん延等の事態に際して、国が地方自治体に対して指示することを認めるというものです。このような事態において、国民の生命・身体又は財産の保護のために必要な措置を採るためというのが改正の趣旨とされていますので、一見、問題がないようにも思えます。

しかし、この制度は、①国と地方自治体は「対等協力」の関係であるという地方自治法の趣旨を大きく損なうこと、②指示は閣議決定によってなされるとされていることから、国の地方公共団体に対する関与の根拠・態様は、法律又はこれに基づく政令で定めなければならないとする地方自治法第245条の2の趣旨に反すること、③指示権が発動される要件が極めて曖昧であること、④そもそも緊急時に尊重されるべきは現場の判断であって、国による指示など必要とされないこと、⑤現行の個別法で対応は可能であることなど、憲法上の問題が山積みなだけではなく、そもそも必要性に乏しく、改正ではなく改悪であると断じざるを得ません。

④については、災害はともかく、感染症のまん延に際しては国家的な対応が必要との向きもあるかも知れませんが、緊急事態宣言についても、ワクチンについても、科学的実証的な検証が何一つされていない状況下で、地方の自治権を損なってまで国が介入する必要性は認められません。

このように、この度の地方自治法改正の閣議決定は、重大な問題を多くはらむものですが、残念ながら、国民的大スター大谷翔平選手の結婚報道の陰にかくれ、大々的には報道されず、このような改正が企てられていることを知らない方がたくさんおられます。仮に意図的に大谷選手を隠れ蓑に使ったのであれば、大谷選手の大ファンとしても、怒りを禁じ得ません。

改正案は国会への提出が閣議決定された段階で、まだ国会で可決されたわけではありません。強く関心を持って、軽々な改正がなされないよう、監視する必要があります。
2024-3

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