裁判傍聴

先日、多くの被害者を出しながら刑事責任能力なく無罪という判決が神戸地裁で出され、大々的な報道により注目を浴びました。責任能力なければ無罪という刑法の枠組は、法律を学んだことのない人には受け入れがたいもので、この結論に対する批判も多く見られます。
もっとも、本稿の短い字数の中で、責任能力について解説するつもりはありません。このトピックスを持ち出したのは、もっと根本的に、裁判官だったり裁判員だったりという「人」が、同じく「人」である被告人の行為を裁くということの意味を考えていただくために、是非一度、刑事事件の裁判傍聴に行ってくださいというお話をさせていただきたいからです。
 裁判の傍聴には特に手続はありません(社会的に耳目を集めている事件は、抽選で傍聴券を配布する場合がありますが、数からみれば例外です。)。裁判所に行くと、開廷表という、その日に公開される予定の一覧が見られるようになっていますので、傍聴しようと思う事件を決めたら、その法廷の傍聴人入口から入って頂ければ傍聴できます(コロナ禍の影響で、傍聴人数を制限していることはあるかも知れませんが、通常、それでも傍聴人でいっぱいになることはあまりありません。)。静かに出入りしていただけるのであれば、途中入退室も可能です。録音録画は禁止されていますが、メモを取っていただくのは構いません。開廷予定時間も開廷表に書いていますので、40分くらいの事件を選んで入ってもらえれば、冒頭手続から求刑弁論まで、判決を除く手続の全体像が見られることが多いです。
刑事事件の大半を占める単純な自白事件であっても、実際傍聴してみると、感じることはたくさんあると思います。その上で報道に接していただけたら、それまでとは違う印象を持つこともきっとあるでしょう。
 是非一度、お近くの裁判所に出向いてみてください。

2021-11

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