パワハラ法制改正から6カ月

今年の5月末に、一連のいわゆるパワハラ法制が改正されてから、およそ半年が経過しました。この改正では、いわゆる「パワハラ」が定義され、①優越的な関係②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動③労働者の就業環境を害することの3つがパワハラの要素とされました。

この3要素は、どれも解釈の余地がある規定のされ方をしており、最終的には事例ごとの判断となると思いますが、とりわけ問題となることが多いと思われるのが、どこまでやれば②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動、ということになってしまうのか、ということです。

これについて明確な基準を打ち出すことは難しいですが、私は今のところ、⑴業務上の必要性に基づくかどうか(嫌がらせ目的ではないかどうか)⑵言動内容(人格非難に及ばないかどうか)⑶言動態様(執拗でないか、人前でする必要があるのか)⑷関係性・属性(新卒にそこまで言うか)等の要素を総合的に考慮して判断すべき、と整理しています。

もっとも、パワハラとそうでない行為との境界線を探る営みは建設的ではありません。問題は、「本当にそんな言い方で相手の行動を変えられるのかどうか。」ということです。行動の改善という目的に向けられてない言動は自己満足に過ぎず、生産性向上を目指す営利企業において非難されるのは当然と言えましょう。年末に向けて、お酒の席が増えたり、ノルマの締め切りが迫ったりという方も多いと思いますが、今一度、自分の部下に対する言動が、行動の改善という目的に適したものであるかどうか、見つめなおして頂ければと思います。

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