「裁判したら勝てますか?① 回収できる?」

裁判で勝つ要件は、めちゃくちゃ単純にいうと、
①求めている内容が、法的な解決になじむこと(「心の底から謝って欲しい」とか、そういうのは無理。)。
②言い分とストーリーが、ある程度合理的であること。
③言い分とかストーリーを裏付ける証拠があること、の3つです。
しかし、この3つが揃って勝訴判決を得ても、それだけでは不十分です。裁判で負けても潔くお金を払わない人や法人なんて、世の中に数多存在します。実際に金銭を回収できなければ、勝訴判決なんてただの紙切れ。裁判所を説得したり、証拠を集めたり整理したりした苦労も水の泡です。
ですので、私は、ご相談を受けて、ある程度事案の筋がつかめましたら、早い段階で、「で、相手の方は財産もってますか?」「あなたはその財産のありかを把握しておられますか?」など、相手が任意に払わなかった場合でも強制的に回収できる可能性があるか、確認することにしています。こういう質問をすると、よく、「本人は持ってないと思いますが、実家は資産家です。」とか、「奥さん名義の土地があったと思います。」と言われる方がいらっしゃいますが、これはダメ。基本的には本人名義の財産でなければ回収のアテにすることはできません。
また、銀行口座を押さえる場合も、金融機関名・支店名までは把握しておかないとできない、というのが今のところの実務です。差し押さえた時点で口座に入っているお金しか押さえられませんから、マメに引き出されてたらやはりアウトです。
このような知識や経験を踏まえて、「事案としては勝ち筋のように思えるけど、あきらめた方がいいのではないですか。」とアドバイスすることもよくあります。せっかく相談に来たのに冷たいなぁ、と感じられる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、ただでさえ損害を被っている中で、さらに弁護士費用等の費用倒れをしてほしくないという気持ちからですので、出来ればご理解頂きまして、「損切り」することも、とても前向きな判断だと考えています。

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