「法律」というのは簡単にいえば「国会が決めた、国民が守るべきルール」ですから、取引においてもこれが一番大切なルールだと思っている方も多いと思います。もちろん、取引において法律やガイドラインなど、一般的なルールが大切であることは間違いありません。
しかし、取引の世界では「私的自治の原則」といいまして、取引の当事者間では、取引の当事者が決めた個別のルールが原則として適用されるということになっています。そして、この、当事者が決めた個別のルールの代表が「契約」ということになります。
このように、契約はその当事者間では大変強い拘束力を有するものですから、契約条項の作成は相手方に任せてしまわずに、文言の意味を正確に理解しながら、自ら積極的にその作成に関与しなければなりません。また、後々不利益が生じないように、専門家の助力を得ることにも大きな意味があります(いわゆる「顧問弁護士」の仕事の大半は、契約書の作成及びチェックになります)。
また、すでに出来上がっている契約の文言をめぐって争いとなることもよくありますが、契約の文言の解釈というのは、契約成立過程のストーリー等を踏まえた特殊なスキルになりますので、この段階でも専門家の助力は有益です。
契約というのは、つまるところ、他人との約束の内容を一義的に言語化することであるといえると思いますが、この「一義的」というのが思いの外難しいものです。大切な約束や意思表示の内容を言語化する必要が生じたときには、是非、専門家のアドバイスを受けて慎重に進めて下さい。