違法ダウンロード重罰化へ

 

先日、文化庁は、インターネット上で違法に配信されたと知りながら、有償の漫画や雑誌、小説、写真などをダウンロードする行為に2年以下の懲役か200万円以下の罰金、またはその両方を科す著作権法改正案を来年の通常国会に提出する方針を固めました。無断ダウンロードに対する刑罰は、これまで音楽や動画に限定されていましたが、海賊版サイトによる被害が拡大している現状を踏まえ、今般、対象が拡げられることになりそうです。
日本は、知的財産の侵害に対する罪の意識が大変低いと言われています。平気でモノを盗む人は少ない反面、模擬試験の問題をコピーして共有したり、音楽CDを飲食店で流したりというような著作権法違反行為は、犯罪性向の低い、ごく普通の真面目な人でも抵抗なくやってしまっています。
しかし、カタチのない「情報」や「表現」を商品として生活の糧にしている人はたくさんいます。モノそのものは溢れかえっているともいえる今の時代、ますますカタチのないものを売る人は増えてくると予想されます。
そのような時代の流れの中で、人の努力の上に成立した「情報」や「表現」を掠めとってしまうことは、モノを盗む泥棒と同じ、といえるのではないでしょうか。また、「情報」や「表現」の流通が増えるにもかかわらず、これに相当する対価が支払われなくなると、世の中全体の経済活動が立ち行かなくなり、また新たな発明や創作に挑むモチベーションも失われてしまいます。
「情報」や「表現」は複製が容易であることから、ついつい「自分くらいは。」と思いがちですが、そのような意識が世の中全体に悪い影響を与えることを肝に銘じて、そして、多くの人の役に立つ「情報」や、多くの人に受け入れられた「表現」を創作した人に対する敬意も込めて、今回の法改正を契機に、無断ダウンロードなどの行為に及ぶことのないよう、お気をつけ頂ければと思います。
2019-1-25

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