相続のご相談の際に、「被相続人の生前、同居して介護を頑張ったんだから、その分、相続の際にはちょっと余分にもらってもいいんじゃないか。」というご質問をよく受けます。介護は特定の親族だけが負担することが多いですから、こういう質問をしたくなるお気持ちはよくわかります。
しかし、たとえば同居して食事や身の回りの世話をしていたというような程度であれば、他の親族よりは負担が多いことは確かなのですが、それでも親族間でなされる通常の扶助行為に過ぎないとして、相続の際に特段考慮する必要はない、というのが、民法や判例の態度です。
もっとも、たとえば強度の認知症で放っておくと自傷他害の危険がある、というようなケースで、日夜を問わず目を離さず療養看護していたという場合であれば、通常の扶助行為を遥かに超えるものであり、被相続人は付添看護師費用の支出を免れたことになるので、たとえば看護師さんを頼んでいたらかかったであろう金額について、相続分とは別にもらえるという判断がされたこともあります。
このように、判断の分かれ目は、結局、「通常の扶助行為を超えるものといえるかどうか」という非常にあいまいなものですし、いくらか考慮すべき、となったとしても、何を基準に金額を決めるのかということもまた、あいまいなところがあって、相続開始後の揉め事の火種になりかねません。
対策としては、面倒を見てくれた親族に多少多い目に財産がわたるような内容の遺言を作成しておくことが、完全ではないにしろ、最も有効な方法のひとつであると考えられます。
面倒を見てくれた親族に少しでも報いたい、自分の相続で親族に揉めて欲しくないという思いをお持ちであれば、是非いちどご相談下さい。
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兵庫県弁護士会所属 弁護士 佐々木 伸