消費者庁は、昨年4月に「買取サービスに関する実態調査報告書」を公表しました。本調査は、古物営業法や景品表示法などの法令に基づき、買取サービスにおける広告表示や契約実務の適正化を図る目的で実施されたものです。
調査では、全国の買取業者の広告やホームページを収集・分析し、表示内容と実際の取引条件との整合性を検証しています。また、事業者・消費者双方へのヒアリングも行われました。その結果、多くの事業者が「高価買取」「買取価格アップ」などの表示を用いている一方、実際の買取価格や条件が明確に示されていない事例が多数確認されました。特に、「何でも買取」「どこよりも高く買い取ります」などの包括的な表現については、消費者に過大な期待を抱かせる恐れがあるとして注意が促されています。
消費者庁は、こうした表示が誤認を招く場合、景品表示法違反に該当する可能性があると指摘し、事業者に対し、価格や条件を具体的かつ明確に示すよう求めています。また、表示改善に向けたガイドライン策定や、業界団体との連携による自主基準の整備も検討課題に挙げられました。
今回の報告は、リユース市場の拡大とともに増加する買取サービス利用者の保護を目的としたもので、2025年以降、表示規制の強化や制度改正が進む可能性があります。消費者側から見ても、買取依頼時には広告文言だけでなく、実際の査定条件や手数料の有無を事前に確認することが重要です。
2025-8