教員の残業

公立学校の先生の労働環境については、小欄でも何度か取り上げたことがありますが、このたび、高松地裁で「教員の残業に関する労働基準法違反」を認め、県に損害賠償を命じるという判決が出ました。教員側の請求が認められたのは、全国で初めてと言われています。

そもそも公立の学校に勤める教員には「教員給与特別措置法(給特法)」という特別なルールがあり、原則として残業代は出ません。その代わり、毎月の給料に「教職調整額」として4%分が上乗せされています。とはいえ、どれだけ残業してもこの4%しか支給されないことから、「定額働かせ放題」と揶揄されることもあります。

今回の訴訟では、ある男性教諭が合宿の引率や準備会議で長時間働かされたにもかかわらず、休憩時間が取られず、別の日に勤務時間が調整されなかった点が問題になりました。裁判所は「校長が労働時間の調整義務を怠った」とし、労働基準法に基づく権利侵害があったと認定しました。

上記給特法をはじめ、何かと一般の労働者と異なる扱いをされがちな公立学校の先生ですが、今回の判決は、「教員であっても労働者である」という当たり前の原則に立ち返ったものであり、注目に値すると考えます。

今後は、教職調整額を引き上げる改正案の行方や、残業代制度への見直しも含め、教員の働き方改革が本格化するかもしれません。子どもたちのためにも、先生方が健康に働ける環境が整っていくことを期待したいですね。

先生方の仕事は、定量的な評価が難しい仕事であるからこそ、労働時間に対してしっかりと金銭をもって報いることが大切であると、個人的には考えています。子ども達のためにも、私たち市民が、先生方の労働環境に関心をもって、先生方が働きやすい環境を整えられるよう声を上げていくことが必要なのではないでしょうか。

2025-6