中学1年生の1学期の理科の授業は、「植物の世界」です。私は教科書をほとんど使わず自作プリントを作って授業を進めていました。教科書の順序では「花のつくりとはたらき」「葉のつくりとはたらき」「根・茎のつくりとはたらき」「植物の仲間」と学びます。それでは面白くないので、私は「野外に植物をさがしにいこう」「光を求めて生きる植物たち」「植物進化のみちずじ」を3本柱にした授業を組み立てていました。可能な限り、毎時間実物の植物を観察したり、実験をしたりして学んでいきます。最後が「植物学習終了記念パーティー・野草の天ぷら料理」です。
人類の植物認識の基本は「食べられるか、食べられないか」だったはずです。校庭に生えている身近な植物を天ぷらにして食べました。この授業はとても衝撃的で楽しかったと教え子たちの共通の感想でした。
「ニワトリの解剖をして、砂ずりや心臓を焼いて食べたのも強烈だったな」
「ベッコウ飴もつくったよ」など食べる理科の授業の思い出が口々に語られます。単なるテストの点数のための知識ではなく、科学の楽しさを実感し、活きる力につながり、学ぶに値する学習を追い求めてきた私にとって、今回集まったメンバーのように「中学での理科の授業が自分の進路を方向づけた」とか、「30年たってもあの時のインパクトはわすれない」と言ってくれる人がいることは、なんとありがたいことでしょう。
2024-8