子どものころ、私は舞子の海で泳いでいました。狭い海岸があって、明石海峡の激しい潮流に逆らうと後ろに進むし、流れに乗ると垂水の海岸まで行ってしまいます。手製のヤスでヒラメやテンコチを捕ったりもしました。その思い出の海は濁った海でした。ゴミもいっぱい浮いていたし、赤潮もしばしば発生していました。瀬戸内海の水質汚染が社会問題になったのは昭和40年ごろからでした。工場排水や生活排水が垂れ流しで大量に海に捨てられました。瀬戸内海の水質をよくするための法律ができ、対策が講じられ、水質改善が進みました。

今も、海岸でぼんやり遠くを眺めるのが好きで、塩屋や須磨の海に行くことがあります。その海はとてもきれいで透き通っています。

最近、大阪湾や播磨灘が奇麗になり過ぎたことが問題になっています。海水に含まれる栄養塩が少なすぎるためにプランクトンが育たず、それを食べて育つイカナゴなどの魚が減っています。養殖のノリも色が悪く、高級な品質のものが獲れにくくなっています。

4月23日に「Suma豊かな海プロジェクト2022」の開幕式が行われました。「海本来の生物多様性や生産性を保ちつつ、奇麗な海にもしていこう」「SDGs14番目の目標=海の豊かさを守ろう」を須磨の海から発信しようという年間イベントです。主催は須磨海苔養殖をしている漁業者「すまうら水産」、須磨海岸で潮干狩りの復活をめざす市民団体「須磨里海の会」、須磨海岸でビーチクリーンの活動を続ける「神戸海さくら」の3団体です。

須磨海岸では海水浴シーズン前に、潮干狩りができるようになっています。(4月23日~6月5日、入場料大人1800円、小人800円) この記事が出るころはまだ営業していますので、「きれいな海と豊かな海とは?」を問いかけながら潮干狩りを楽しんではいかがでしょうか。
2022-5