小学校や中学校の理科で地層を学習します。理科の学習では、実物の植物を観察したり、物質の化学変化の実験をしたりしながら学ぶのが普通です。地層の学習では、ぜいぜいモデル実験か、映像や写真で示して学ぶことが多くなります。実際の地層を観察させたいが、どこに行けばいいかと相談を受けることもしばしばです。
地層は平野の地下にかくれています。地層の断面が直接見ることができるポイント(崖)を「露頭(ろとう)」と言います。大地を大きく切り崩す工事が行われたときに露頭で出てきます。露頭はそのままほっておくと崖くずれを起こして危険なのでコンクリートで固めたり、草の種をまいて植物でおおったりすることになります。自然の状態でも、地層の表面は風化して土壌になり、草木が生えて見えなくなります。
神戸市内で小中学生が安全に継続的に実物の地層観察や化石探しができる場所の候補地として、「あいな里山公園」を選び、学習の場として適切な整備をしたいという思いで「あいな里山地質化石研究会」(代表:松尾裕司)をつくり、調査を開始したのは2017年10月でした。
「あいな里山公園」は「しあわせの村」の北側(北区山田町藍那)にあり、国営明石海峡公園神戸地区として整備されています。「自然と人との共生、人と人との交流」を理念として、里山里地の景観が保全され、さまざまな里山体験のプログラムが提供されています。
研究会の5年越しの調査の成果として、この公園の露頭の6か所に「地質説明看板」を設置することができました。公園への入場は有料ですが、ほのぼのとした懐かしい里山の風景を楽しみながら、地層観察をしに行ってみてください。