ロシアによるウクライナへの侵略戦争に世界の多くの人が心を痛めています。一日も早い平和の実現を願うばかりです。今、日本でも「侵略」が起こり大問題になっています。「地球上で最悪の侵略的植物」=ナガエツルノゲイトウという南米原産の外来植物が各地の湖沼、河川に広がっています。水面が覆われて他の植物の成長を阻害し、水路を詰まらせます。白い花のありふれた水草に見えますが、とんでもなく厄介な侵略者です。引き抜いても深くまで伸びた根が残り、長期間乾燥させても枯れない、穴を掘って埋めても芽を出します。

兵庫では「いなみの台地」や淡路島で繁茂が確認され、地元住民や行政、研究者が駆除活動をしています。碓井信久さん(兵庫・水辺ネットワーク)の案内で2018年末から駆除に取り組む稲美町の新仏池を訪れました。池の周囲の土手斜面に遮光シートが張り巡らせて、光を当てず、枯死させ、陸地に上がってくるのを防ごうとしています。シートの隙間からツルを伸ばしたり、水際に勢力を広げたり、水面に固まりとなって浮いていたり、異常な繁殖力を実感させます。完全な駆除には大きな労力と費用、長い年月がかかることは確実です。

ナガエツルノゲイトウは外来生物法の特定外来生物に指定されて、栽培・販売・譲渡・運搬が禁止されていますが、どれだけ早期に発見し、駆除に取り掛かるかがカギになると碓井さんは語ります。

兵庫県は日本で最も多くのため池があり、それぞれの場所で多様な動植物が豊かな生態系をつくって生きています。一つの特定の外来種の侵略から水辺の豊かさを守りたいものです。

2022-5