「春の七草」を知っていますか。正月明けに「七草がゆ」を食べる習慣があります。

「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ」と覚えている人は多いと思います。

でも、実際の草を知っている、見分けられる人はあまりいません。ゴギョウはハハコグサ、ハコベラはハコベ、ホトケノザはコオニタビラコ、スズナはカブ、スズシロはダイコンです。

野草として、ふつうの道ばたで見つけることができるのは、ナズナ・ハハコグサ・ハコベ・コオニタビラコくらいでしょうか。

1月中旬のとても寒い日に、私の自宅近くの西区伊川谷の田園を歩いてみました。

野草で花を咲かせているものをさがしました。ピンクの花のホトケノザとヒメオドリコソウがめだちます。

ナズナも白い花を咲かせています。セイヨウタンポポやオオイヌノフグリの花も見つけました。「春になったら花が咲く」と思っていませんか。

こんなに寒い冬に花をつける野草があります。これらの野草には共通の特ちょうがあります。

どれもが「大きくなれない草」です。夏から秋に大きく育ったヨモギやセイタカアワダチソウなどが枯れた場所や葉を落とした街路樹の根元で芽を出し、いち早く花を咲かせます。

大きな草にじゃまされずに太陽の光を受けて育つのです。植物の世界では「光取り競争」がくり広げられています。

小さな草たちは、できるだけ早い時期に「勝負」するのです。2月、3月にはオオイヌノフグリやキュウリグサがいっせいに花を咲かせます。

したたかにたくましく生きている小さな草たちの姿を見に行きましょう。

(元神戸市中学校理科教師)