今から20年ほど前に日本で「若者の理数離れ・理数嫌い」が進んでいることが話題になったことがあります。学校での理科と数学の学習を苦手とする子どもたちが増えていることが問題として取り上げられました。「科学・技術立国」を標榜してきた日本の将来を危ぶむ論議がありました。そしてその傾向は今も続いていますし、より深刻になっているのではないかと感じています。

中でも最も「苦手意識」が高い分野は「物理」です。光や音、力・電気など見えないものをあつかう物理は難易度が高くて、「わからない」「理解できない」世界との思い出を持っている大人が多いですし、今も学校の理科の授業でも苦しんでいる子どもも少なくないようです。

かがく教育研究所代表の森本雄一さんが開発した「回路カード」を使った電磁気学の学習システムは、誰でもが自分で実験をしながら、楽しく学び、分かりやすい教材として画期的なものです。今まで伝統的に使われてきた「リード線」を接続して、回路を組み立て実験をするのではなく、あらかじめ用意された「基盤」に部品を置いていくだけで実験ができる革命的な教材です。どんなことを、どのように学んでいけるのかを連載で紹介していきます。
2024-9

 

写真 「回路カード」とその部品