JR元町駅西口の北に神戸生田中学校があります。ここにはかつて神戸小学校と神戸中学
校がありました。私は1979年から89年まで、神戸中の理科教師として勤めていました。
その北に神戸市立教育研究所があり、私は毎週木曜日の放課後に研究員としてその3階の
一室に通っていました。そこには指導主事の前田保夫先生がおられ、市内の小・中学校の教員が集まって研究会が開催されていました。
「神戸の自然研究グループ」という研究会では、「神戸の自然を理科の授業にどう生かすか」
の提案や報告や意見交換が行われました。メンバーはそれぞれ自分の得意な分野があり、研究を
進めていました。かたつむりの鈴木さん、シダの白岩さん、野鳥の加藤さん、野草の藤池さん、水
草の碓井さん、化石の松尾さん、淡水魚の大前さん、プランクトンの小林さん等多彩でした。私の
担当は地層です。休みの日には共同の野外調査が行われました。六甲山のブナ林の調査、西神戸の
地層調査、淡水魚調査、水生植物調査などです。
各自の研究と共同の研究成果は「神戸の自然シリーズ」の書物として、神戸市立教育研究所から
発行されました。第1巻は1979年の「六甲の断層をさぐる」、1989年の「六甲山はどうし
てできたか」まで全21巻の様々な分野の著作です。神戸という一地域の自然を、小中学校の現役
の教員が研究し、まとめあげた全国でも類を見ない成果でした。
現物の書物が手に入らなくなった2003年ごろに神戸市総合教育センターの青木典司さんの
呼びかけで、デジタル化・公開され、今でも神戸市教育委員会のホームページで、全著作が読めるようになっています。

2023-4