チャートや泥岩にふくまれる放散虫化石により、地層ができた時代が
分かってくると不思議なことが明らかになりました。「古生層」の泥岩は
中生代のジュラ紀を示し、チャートは古生代のペルム紀を示すものが多
いのです。全く違う時代の堆積物が混在したり、繰り返したりしています。チャートには陸からの砂が全くふくまれていないので深海底で堆積したことが確実です。泥岩や砂岩に重なっている
チャートは整然と堆積したものではなく、レキとして混入したとしか考えられません。
古生代のペルム紀(約3億年前)に太平洋の深海底に堆積した放散虫の遺骸はチャートの地層と
なり、浅い海にできたサンゴ礁は石灰岩となり、海洋プレートの移動で大陸の周辺の海溝まで移動
してきました。プレートは1年に数㎝移動するので、1 億年で数千㎞になります。
中生代ジュラ紀(約2億年前)にプレートは地球の内部に沈み込みますが、チャートと石灰
岩の地層ははぎ取られ、堆積していた泥や砂の地層とともに大陸に付け加わることになります。こ
のように大陸に付け加わった地質を「付加体」と呼んでいます。日本列島の骨格は、いろいろな
時代の付加体と花こう岩や流紋岩類が寄木細工のように組み合わせてでき
ています。
神戸市西区に雄岡山(2 4 1m)と雌岡山(2 4 9m)があります(写真1)。新しい時代の
大阪層群が広がる真っ平らな丘陵にポツンと2つの山が突き出しています。この山はジュラ紀の
付加体である丹波層群からできています。この山の近くに住吉神社があり、その前の明石川の河床で丹波層群の地層を観察することができます(写真2)。
2023-1