幼児期の自然体験がもたらすもの
ファラデーラボ加古川での第1 6 6 回「かがくカフェ」は、金沢学院大学教育学部の藤井徳子さんに自然体験と子どもの成長をテーマに話題提供をしていただきました。5 人の子どものおかあさんである藤井さんは、カナダとドイツでの約10年間の暮らしを経て、現在は「富山森のこども園」を主宰し実践しておられます。
カナダの子どもの放課後が家族と一緒に過ごす充実したものであること、ドイツでシュタイナー教育や森のようちえんを経験して、「自然とともにある暮らしが心地いい」と実感したと語ります。ドイツでは森の中で子どもたちが活動するようちえんが多数あって、生き生きと活動している様子が紹介されました。
日本の子どもたちの自然体験の現状が報告され、「平日放課後にまったく外遊びをしない小学生」が76% であり、「学校外で1年間一度も虫取りをしなかった小学生」が42% もいるという現状の背景に親の世代の自然体験の減少があります。自然とのふれあいが子どもの心身の健康や成長を促すという海外の多くの研究が紹介されまし
た。幼児期の自然体験が自己肯定感や自制心、意欲関心や規範意識、人間関係能力などを高めるのに有効であり、その後の人生に大きな影響を及ぼします。
自然の中で、子どもが主体となって、自由に好きなことをしてゆったりと遊ぶことがとても大切であることが強調されました。藤井さんが最後に紹介したレイチェル・
カーソンの言葉です。
「『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではない」「子ども自身が生きる喜びを実感し、自らの意思を尊重し、行動すること」「子どもと一緒に再発見し、感動を
分かち合ってくれる大人が少なくとも一人いること」
そのために行政、地域、団体、専門家が多様な関わり合いをもって、協同していくことがとても大切であると思いました。
2025-3