9月は、神戸でラグビーW杯の試合が開催され、多いに盛り上がりました。来年開催が予定されている東京オリンピックも、チケットの入手が非常に困難になっていることは、皆様よくご存じの通りです。
このような状況に乗じて、会場の周りでチケットを不正転売する人のことを俗に「ダフ屋」といい、従前より条例等で取り締まられていました。
しかし、条例では、「公共の場所又は公共の乗り物」での転売を想定していますので、近年見られるインターネトッ上での転売は取り締まることができません。そこで、これらを含め取り締まるため、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(通称「チケット不正転売禁止法」)が、昨年の臨時国会で議員立法により成立し、本年(2019 年)6月14日から施行されました。
この法律でいうチケットとは、特定のイベントにのみ入場可能なチケットで、無断転売を禁ずる旨がチケット上に明示され、かつ購入者の氏名等を確認した上で販売したものになります(無断転売を禁止する旨の記載がないチケット、販売時に購入者の確認が行われていないチケットなどは該当しません。)。
また、不正転売とは、興行主に無断で、本来の販売価格を超える価格で転売することをいいます(定価を1円でも超えれば不正転売にあたることになります。逆に、定価より安く転売しても、不正転売にはあたりません。)
この法律に違反して不正転売した人は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の刑罰を受ける可能性があります。転売を受けた側を処罰する規定はこの法律にはありませんが、刑法上の盗品等有償譲受罪が成立する可能性があります。また、たとえ刑事罰を免れたとしても、不正転売を受ける行為が不正転売を助長し、ますます適正価格での入手が困難になる状況を作り上げているということをよく自覚し、決して不正転売に加担しないようにしましょう。