〜隣のお庭の桜の木。タダでお花見させていただけるのは結構なんだけど、こちらにはみ出している枝から落ちる花びらや葉っぱの量がハンパない〜こんな場合でも、従前の民法のルール
では、自ら越境してきた枝を切ることはできないことになっていました。
このルールの下では、所有者に切除をお願いしても動いてくれないときには、
枝の切除請求訴訟を起こして勝訴した上で、強制執行手続を採らなくてはなりませんでした。この方法は非常に迂遠かつ費用負担が大きいので、結局何もできないというケースも多くありました。また、そもそも、所有者がわからないときには訴訟を提起すること自体、事実上困難でもありました。
しかし、この4月に施行されました民法改正により、一定の要件の下では、自ら越境してきた枝を切ることができることになりました。この一定の要件のひとつに、「所有者を知ることができず、または所在を知ることができないとき」というものがあり、従前対応が困難であっ
た所有者不詳のケースでも、自ら切除できるようになりました。
実際には所有者と常識的な話し合いを経て解決することがほとんどだと思われ、それは改正以前も同様だったはずですので、実際にこの条文が機能する場面というのはそう多くはないのかも知れま
せん。
それでも、民法がこのように規定しているということを知っているだけで、根拠を持って話し合いに臨むことができ、ひいては平和的解決につながるかも知れません。
クイズ感覚でも構いませんので、このような法的豆知識に興味を持っていただけると、お役に立つ場面がきっとあると思います。
2023-4