SNSなどで散見される「口コミ情報」については、これまで、消費者庁は、
①原則として景品表示法上の問題は生じない、としながらも、
②商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が「優良誤認表示」
や「有利誤認表示」に該当する場合には、景品表示法上の「不当表示」として問題
となる、との取り扱いをしてきました。
この「第三者に依頼して掲載させ」の部分が、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)と呼ばれるものです。
そしてこの度、消費者庁は、ステマ広告規制をさらに進めるべく、景表法第5条第3号の規定に基づき、優良誤認や有利誤認以外の「その他、誤認されるおそれがある表示」の一類型として、ステマを指定する告示を出す方針を示しました。早ければ今年の秋には施行される見通しと言われています。
「その他、誤認されるおそれがある表示」として指定されている表示には、いわゆる「おとり広告」や、果肉を含まない清涼飲料水などに「無果汁」と記載しなければ不当表示とするものなど6つの類型がありますが、うち4つは業種や商品・サービスの内容を限定しており、ス
テマ広告は、「おとり広告」に次ぐ包括的な指定となります。もっとも、「包括的」
とはいえ、解釈の余地が比較的大きい優良誤認や有利誤認とは別に個別に指定するわけですから、規制の対象としては明確であり、ステマ広告に対する問題意識の高さがうかがわれます。
もっとも、いくら景品表示法で規制を強めたとしても、実際に被害を受けた個人がそれを回復することは容易ではありません。第三者による「口コミ」であっても軽々には信用せず、自ら情報収集に動く姿勢が求められます。
2023-3