営業秘密の侵害

先日、「かっぱ寿司」の運営会社および社長らが「はま寿司」の営業秘密を侵害したとして、不正競争防止法違反の罪で起訴されたとの報道がありました。両社とも人気の回転寿司チェーンであり、ご記憶の方も多いと思います。
この不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争等を確保することを目的とする法律で、10の行為類型を不正競争行為として定めています。そして今回のかっぱ寿司の件では、はま寿司の仕入価格や仕入先などのデータを持ち出した行為が営業秘密の侵害行為にあたるとされ、立件されました。
今回のように大きく報道されたのは、被害者加害者ともに有名なチェーン店であることによりますが、このような営業秘密の侵害は、たとえば営業マンの転職に伴い、顧客情報を持ち出したというような形でよく問題になります。もちろん、この場合も、顧客情報が営業秘密に該当すれば、不正競争防止法の適用を受け、刑事罰に問われることもありえます。
もっとも、不正競争防止法上の営業秘密というためには、単に技術上営業上の情報であれば足りるものではなく、①秘密管理性②有用性③非公知性という要件を満たす必要があります。顧客情報であれば②③の要件は満たすとしても、たとえば顧客名簿に特定の人しか知りえないパスワードをかけておくなどして管理していなければ、①秘密管理性が認められないこともあります。
このように、不正競争防止法は、情報を管理する企業・雇い主側にとっても、情報に触れる従業員、取引業者にとってもとても大切な法律です。経産省のHPで法の概要をまとめたPDF資料が公開されていますので、ご一読されることをお勧めします。
2022-11

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