男性の育児休業

いわゆる育児介護休業法の改正法が2021年6月に成立しました(施行は条項ごとにまちまちですが、まだ少し先です。)。
今回の改正の目玉は、「男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設」で、具体的には、①休業の申出期間を、休業の2週間前まで伸長され、②2回までは、分割して取得できるようになり、③労使協定がある場合には、休業中の就業も可能になりました。制度そのものは少しずつですが使いやすいものに変わってきていると評価できると思います。また、育児休業による負担を女性を雇用している会社だけが負っている状態よりは、その負担を男性を雇用している会社にも転嫁することは合理的といえ、その観点からは望ましい方向への改正であると考えています。
しかし、これで男性の育休取得率が劇的に向上するかといわれれば、そんなことはないように思います。育児休業そのものは無給の扱いになっている会社もまだまだ多く、有給で休もうと思ったら有給休暇を消化しなければならないという現状は、育休取得を躊躇する一因となります。
また、育休により事実上負担が増すのは雇用主だけではなく、周囲の同僚です。子どもがいる人、これから子どもを生もうと思っている人にとっては「お互い様」かも知れませんが、子どもを生まない選択をした人にとっては、ある意味一方的な負担です。「なぜ、子どもを生む人の分、自分が余計に仕事をしなければならないのか。」と思ったとしても、必ずしもおかしなことではないと思います(これは男性の育休に限りませんが。)。
ということで、個人的には、次の立法的な課題は、「育休中に負担がかかった周囲の同僚への配慮」ではないかと考えています。多様な選択肢を支える人たちへの手当があってこそ、お互いがお互いの生き方を尊重できるようになるのではないでしょうか。

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