空き家の話

近年、いわゆる「空き家問題」が注目を集めていることは、ご存知の方も多いと思います。今年の2月には、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、より一層、空き家に対する社会の関心は高まっています。この特措法では、主に、危険家屋の取壊し等についての行政代執行であったり、あるいは特定空き家に対しては固定資産税軽減の対象外としたりするなど、放置されている空き家対策が定められています。また、空き家の活用については、不動産業界等を中心に、様々なアイデアが出されているところです。
しかし、そういった取壊し、活用以前の問題として、放置されている空き家がたとえば倒壊して、周りの人に損害を与えた場合に、誰が責任を負うことになるのか、ということについてはみなさんご存知でしょうか。
この点につき、当該建物の所有者がいる場合は、その人が何らかの責任を負う場合がある、ということは、割とわかりやすい話だと思います。
しかし、当該建物につき相続人全員が相続放棄して、所有者がいない状況であればどうでしょう。あまり知られていないと思いますが、実はこの場合、相続放棄したいわば「元相続人」は、新たにその物件を管理する人(相続財産管理人など)が現れるまでは、その物件を管理する義務を負うことが、民法上定められているのです。
このように、空き家の管理については、相続放棄したからもう知らない、というわけにはいきません。もし、みなさんの中で、相続放棄した財産の中に空き家が含まれていて、全く管理出来ていないという方がいらっしゃれば、一度弁護士に相談されることをお勧めします。

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平野・佐々木法律事務所   ☎078-351-7687
兵庫県弁護士会所属  弁護士  佐々木  伸

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