業務上災害と解雇について

労働基準法では、業務上のケガや病気で休職している間の解雇を禁止しています。
もっとも、使用者が治療費を負担して治療を始めてから3年が経過しても治らない場合、賃金1200日分の「打ち切り補償」を支払えば解雇することも可能になります。
では、使用者が治療費を負担していないけれども労働者が労災給付を受けている場合は、使用者は、打ち切り補償を負担すればその労働者を解雇することができるのでしょうか。
先日、この問題についての初めての最高裁判所の判断が出ました。結論から言うと、この場合、使用者は労働者を解雇できるという判断です。
この判断の善し悪しについてここで言及することはしませんが、結果としては、その労働者を解雇するかしないかについての使用者側の選択肢が広がったことにはなります。
もっとも、例えば近々復職の可能性があるのに、さしたる理由もなく解雇するというようなことは、解雇権の濫用として、解雇が無効になる可能性もあります。
業務上のケガや病気という、労働者にとって気の毒な場面の解雇については、上記のように〈原則禁止〉→〈治療費負担もしくは労災受給+打ち切り補償の場合は可能〉→〈その場合でも解雇権の濫用は認められない〉という形でバランスが図られています。
そうはいっても、実際のケースについて、どのようなあてはめになるのかの判断は大変困難です。
業務上災害と解雇が絡むケースについてお悩みがあれば、使用者の立場の方も労働者の立場の方も、一度社会保険労務士や弁護士に相談してみて下さい。

 

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平野・佐々木法律事務所   ☎078-351-7687
兵庫県弁護士会所属  弁護士  佐々木  伸

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