公正証書遺言のすすめ

従来から、被相続人名義の預貯金について、金融機関は、遺言がなければ、共同相続人全員の合意がなければ、当該相続人の法定相続分についても、その引き出しに応じない、という扱いが通例でした。もっとも、金融機関の裁量で、事情によっては引き出しに応じるケースも少なくはありませんでした。
しかし、直近に最高裁が、「被相続人名義の預貯金は遺産分割の対象となる」との判断を出したことの影響で、今後は、金融機関が特定の相続人の求めに応じて預貯金の引き出しに応じるケースは、かなり減ってしまうと思われます。そうなると、たとえばすぐにお支払が必要なこともあるお通夜やお葬式の費用を被相続人の預貯金から出せなくなったり、あるいは被相続人の家族が生活費を引き出せなくなったりという事態が増えてしまうかも知れません。
こういった不都合に対応するため、仮払の制度を創設して立法的に手当をしようという動きがみられます。また、現行法の下でも、仮分割仮処分という方法で救済できるのではないか、という見解もあります。
しかし、将来どのような立法がなされるかは未知数ですし、また仮分割仮処分も、実務上の蓄積がほとんどありません。
筆者の個人的な見解としては、この場合も、やはり遺言執行者を指定した公正証書遺言の作成が、現時点においては一番有効な対策となりうると思います。公正証書により遺言能力の問題をクリアしておけば、共同相続人の協力がなくても、遺言執行者が遺言の内容を実現してくれるからです。
という次第ですので、是非、お近くの専門家にご相談の上、公正証書遺言の作成を前向きにご検討頂きたく存じます。

初回相談無料  お気軽にご相談ください
平野・佐々木法律事務所   ☎078-351-7687
兵庫県弁護士会所属  弁護士  佐々木  伸

コメントを追加する

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です