日本真珠会館

 

中央区にある旧外国人居留地、東南の端に、「日本真珠会館」という美しい響きの名前のビルがあります。
国際的な真珠の取引の中心だった神戸に、日本の真珠産業の拠点として、その核となるべき゛美の殿堂゛をということで、昭和27年に竣工された建物です。以来、阪神・淡路大震災も乗り越え62年間、現在も真珠の入札が行われています。
もう10年近く前に、神戸市が主催した《建築ウォーク》のセミナーに参加して以来、すっかりこの建物の虜になってしまいました。
セミナーの時に聞いた中でも、とりわけ印象に残っているのは、真珠にやさしい光を取り入れるために、木々の緑の反射を避けて、あえて東遊園地から少し南へずれた場所に建てた、というお話でした。また、窓ガラスやブランド、証明器具など全て真珠に配慮したデザインが、今でも通用するほどモダンなことや、さらに、四階の真珠交換室は、当初、本来の目的以外に音楽室にも使えるように、残響効果も考慮された設計がなされていた、ということにも驚きました。
昭和天皇が、昭和29年来神の際に乗られたという、その当時としては最新型の日立製の全自動式昇降機(エレベーター)は、現在はすでに新しい機械に代わっています。《モダニズム建築の名作》といわれたこの建物は、外側から眺めても、細部の意匠にに気がつくことなく、ほとんどの人に見逃されてしまいます。窓側に僅かに傾いた面格子、エントランスの石段のゆるやかなカーブなど、設計者、光安義光さんの、目立たない、遊び心のあるやさしいデザインは、真珠会館に会いに行く時の、密やかな楽しみの一つです。
帰りは、一階の北側に新しくできた「KOBEPEARL SOUQ」(市場)で神戸ならではの真珠を探してみてください。
2014-3-21

神戸ワインの話

昭和59年10月に開園した神戸市立農業公園。

まだそれほど遊びが多様化していない時代に、ワインと観光が結びついたテーマパークのような目新しさが時代に受け入れられたのか、

平成3年には62万人ものひとが訪れました。しかし、次第に入園者が減ったこともあり、入園料と駐車場を無料にして、

平成18年には、ワイン造りに特化するために、「神戸ワイナリー」と名称も変えました。

地産地消の魁ともいえる「神戸ワイン」ってどんなワインってどんなワインかご存知ですか。神戸の生産者により、

神戸の土地で育てられた〈欧州系〉のぶどうを原料にし、神戸の醸造所(農業公園)で造られたのが「神戸ワイン」です。

何やら有名な演説のようですが、どこからみても”神戸っ子”のワインです。
農業公園は、西区のほぼ中央に位置し、日当たりと水はけが良く、ワインに適したぶどうを育てるには良い場所。

赤・白用あわせて五種類のぶどうの木を約60戸の契約農家が栽培しています。

昭和46年、当時の宮崎市長から、岩岡の観光ぶどう園の生産者との語る会で、神戸ワインを造ってみてはとの提案から、すでに42年が過ぎました。

全く混ざりもののない”100%神戸産”のワインを造る-という信念には、いまだにゆるぎはありません。収穫は開園までに、職員やボランティアなど

総出で手作業で行われ、今年は約330万tのぶどうから30万本のワインができます。一言でいうならば「花のようにやさしい神戸ワイン」は、

神戸の風土と見守っている人により、大切に育まれています。

2013-9-20

 

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