ー空から比較ー

神戸港開港150年目を記念して作成された絵図が、現在、神戸市役所1号館24階展望ロビーに展示されています。
開港当時と現在の神戸の絵図を描いたのは、鳥瞰図絵師の青山大介さんです。
昨年の春から約9ヶ月をかけて作成された鳥瞰図です。
「昔」には、生田川が流れ、生田神社には参拝している人たちがいて、まだまだ建設途上の居留地の様子がよくわかります。
また、港内には、イギリス、アメリカ、フランスなど18隻の外国艦船が停泊していて、それぞれの国旗やスクリュー船か外輪船かの区別からマストの数まで、資料に基づき丹念に描き分けてあります。
「今」の絵図には、完成が予定されているビルや施設、入港する予定の客船なども盛り込まれています。
そして、中には、西国街道に潜んでいた追いはぎなど、作者だけの遊び心がたっぷりの隠し絵もちりばめられています。
青山さん自身が大震災を経験したのは18歳の時でした。
あえなく壊れ、なくなった街に対する思いは人一倍です。自分の絵図で、故郷神戸の復興を描き残しておきたい、そのことで街に恩返しをしたい、と気の遠くなるような精緻な鳥瞰図を描いています。
青山さんの作品を前に、150年の歳月の歩みに思いを馳せてみてください。

Dジャーナル2017-6-23号では青山大介さんの鳥瞰図を使い次のような紙面を制作しました。

紅葉の名所

 

 

神戸の都心、中央区から近い所に、紅葉の美しい場所があるのをご存知ですか。
まずは、新神戸駅から歩いて約20分で「徳光院」に着きます。ここは川崎財閥の川崎正蔵さんが、1887年から1905年にかけて私財で建立した臨済宗のお寺です。重要文化財の多宝塔もあり、誰でもが行ける「徳光院市民公園」になっています。
近年、にわかに外国人観光客に注目されている「布引の滝」の雄滝茶屋からは、わずか数分の距離の所にあります。
さて、ここから貯水地を見ながら、森林浴ハイキング道をゆっくりと約一時間で「紅葉の茶屋」に着きます。昭和2年4月に創業されていて、4代目の土居悦子さんが迎えてくれました。
創業者の土居樟巳さんは有名な「鈴木商店」にお勤めされてここから馬で通われていたそうです。
紅葉の茶屋の名物は、”すき焼き”です。丁寧で吟味された材料に加えて女将さんのおもてなしが、隠し味になっています。
今年の紅葉の見頃は、11月の下旬くらいかなぁ、と言われていました。 爽やかな風や光を浴びながら、鳥の声を聞きながら、道端の雑草やアケビやイバラや欄などの名前を教えてもらいながら、愉しく来た道を下りました。
紅葉の茶屋
土・日・祝日のみ営業
鍋料理は予約
●(241)3667

2016-11-16

相楽園と盆栽教室

 

JR 元町駅から歩いて約10分で「相楽園」に着きます。
相楽園は、元神戸市長小寺謙吉氏の先代本邸の本邸の庭園で、明治18年頃から着手されて完成したのは明治の末頃です。 神戸市の所有になり一般公開されたのは、昭和16年です。
飛石や石橋、流れや滝などが配置された由緒正しい約2万坪もの広い日本庭園が、にぎやかな県庁界隈の真ん中に位置していて、背景が林立しているビル群、というのも面白いですね。
樹齢500年と伝えられている大クスノキも見事ですが、私は、樹齢約300年の蘇鉄が好きです。
相楽園の北東には、小寺謙吉氏が河合浩蔵氏に設計を依頼して明治43年に建築された「厩舎」があります。馬車を入れるための車庫の二階には厩務員のための宿舎が、東側には高い吹き抜けの天井がある馬房があります。外側からこの厩舎を眺める時、私はいつも、豊かな時代の有り様にに見とれてしまいます。
この重要文化財の厩舎で行われた”苔玉教室”に参加してきました。
姫路の好古園で、伝統的な盆栽などの技をを習得し、現代の暮らしに添うような作品を提案されている小山実智子さんが講師です。
盆栽や苔玉は初めて、という若い人と並んで、まずは、植物を保護して包み、大事な栄養素を含んだ土を練り上げることから始まり、土の乾燥を防ぐための苔を張り糸で巻き付けて縄で縛るまでの二時間、汗を流しながら無心に土や植物と向き合いました。
贅沢な馬房という空間での苔玉作り。
次はどんな植物と向き合えるのだろうか、と相楽園に行く楽しみが、またひとつ増えた気がしています。

問合せ 078 351 5155
各種の講座は要予約
相楽園への入園料、材料費が必要

 

2016-11-16

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布引の滝

どこか涼しい所はありませんか?、と聞かれることがよくあります。
美術展や博物館以外に涼しい自然の所でおすすめが、「布引の滝」です。
新神戸駅の下をくぐり、ひとつ目の”雌滝(めんたき)”までは、わずか5分です。さらに、少し急坂な坂道を頑張ってずんずん登って行くと、ふたつめの”鼓が滝”の水音が軽やかに聞こえてきます。
一番奥の”雄滝(おんたき)”、”夫婦滝(めおとだき)”まで、新神戸駅から20分もあればつきます。

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特に、雨上がりなどに行くと、高さ43メートルの雄滝の、5段に分かれて落下する美しい姿を間近で見ることができ、飛沫のシャワーを浴びることもできます。
平安時代から、多くの貴族や歌人が布引の滝を訪れて歌を詠んでいますが、開港されて以来、外国人も足しげく滝に来ています。
新神戸駅から、ほんの少し足を延ばすだけで、幽玄な世界が展開します。
また、雄滝のすぐ近くには、100年以上前からの貴族や雄滝茶屋があります。ちょっと一息汗がひくまで、滝を間近に眺めながら、美味しいおでんを頂くのも贅沢な時間の過ごし方かもしれません。

2016-7-22

オリーブと神戸

 

北野町を歩いていると、メインストリートの北野坂や路地裏、またお洒落な店先にオリーブが植えられていることに気がつきました。
「オリーブを北野町のシンボルにしよう」と2013年から北野地区の住民の方々が取り組んだ結果、こつこつと増やし続けたオリーブの木は今では100本を越えました。
さて、北野町とオリーブの関わりを調べてみると、国内初の「国営神戸オリーブ園」が、外貨獲得のため北野に開園されたのは1879(明治12)年です。
約3000坪の敷地に、550本のフランス産のオリーブやゴムやレモン、ユーカリ、オレンジ、ブドウなどが植樹されましたが、特に北野の土壌に適応したオリーブだけがよく育ち、開園5年後には「神戸阿利襪園園」と改称されました。
開園から3年後には、国内で初めての食用油の搾油(さくゆ)に成功しています。しかし、西南戦争の影響を受けて政府の財政難から民間に払い下げられ、1896(明治29)年には閉園になっています。
オリーブ園の正確な所在地は長い間不明でしたが、神戸大学名誉教授の中西テツ先生が平成12年から地道な調査を開始、トアロード沿いの神戸北野ホテルや周辺にオリーブ園があった事がわかったのは、3年後のことです。
2015年6月2日、神戸北野ホテルの敷地に、往時の様子を伝える案内板と記念碑が設置されました。
当時の、ゆかりがあるとされるオリーブの一本は、今でも湊川神社にあり、見上げるような大木になっています。
その湊川神社の枝を接ぎ木した3本のオリーブ苗も植樹されています。

2015-6-26

神戸ファッション・ウィーク

〝ファッション都市・神戸〟の魅力を発信する

イベント「神戸ファッションウィーク2015春夏」が始まりました。

今年で18回目になる今回のテーマは「evolution」です。

「神戸の街をもっと元気に」という想いを込めて開催しています。
神戸を愛する経営者が実行委員会となり、

企業・ショップ・行政などに呼びかけて、

神戸を楽しんでもらおうと趣向を凝らし様々なイベントを行っています。

まずは、情報が満載の〝公式ガイドブック〟を手に入れてください。
例えば、食の分野では、ファッションウィーク参加店舗より、

新メニューの提案があったり、注文の際にガイドブックを提示すると

お得な特典でおもてなしをしてくれます。
また、美容・健康では、

停泊中のコンチェルトのデッキで朝ヨガが体験できます。
期間中、コンチェルト、ルミナス神戸が特別料金で

乗船できますので、

観光にも使うことができます。
異業種や同業他社が垣根を越え、

様々な角度からおもてなしを考え、街の活性化に向けての取り組みをしています。
青い表紙で大人気のコーベアーのガイドブックを、

いつもバッグに潜ませて、神戸の街歩きをしてみてください。

新しい発見がありますよ。
神戸ファッションウィークは、4月5日まで開催しています。

神戸空港 誕生から8年

構想から23年余りを経て、全国でも珍しい市営の「神戸空港」〈マリンエア〉が開港したのは、2006年2月16日です。「山、海へ行く」と世界的に話題になったポートアイランドの完成とそれを記念して開かれた「ポートピア81」の博覧会で賑わった港島の、さらに沖に空港島はあります。

ポートライナーの三宮駅から、2つ駅を通過する快速に乗れば16分半で神戸空港駅に、改札を出ればわずか100歩で飛行機の見える待合室に着きます。この動線の短さ、便利さが神戸空港の魅力です。
三階建て(一部四階建て)の旅客ターミナルビルの、屋上展望デッキに上がってみましょう。ここには、神戸港から約25万人を送り出したブラジル移民の歴史にちなんで、ブラジルの国花「イベ」の木が使われています。デッキの施工を請け負った井上さん(兵庫区)とサンパウロの材木商中井さん(神戸出身でブラジル移住)が、何度も飛行機を乗り継ぎジャングルを飛び回り確保してくれたイベの材木でした。現在では、堅牢で虫のつきにくいイベの木はブラジルでも少なくなっているようです。

屋上からは、飛行機の離発着の様子はもちろん、六甲山の山並み、明石海峡、紀淡海峡とぐるり360度見渡すことができます。
心地よい響きのするイベの木のデッキを歩き、遠い異国の地に人生の夢をかけて旅立った多くの人たちにも、思いを馳せてみてください。

2014-1-24

彫刻の街 神戸

春が駆け足でやってきました。
市内のあちらこちら、摩耶ケーブル下、宇治川沿い、須磨浦公園…などの桜の咲き具合が気になって落ち着かないのもこの頃の心模様の一つですね。
そこで、今回は、いつでも、どんな時でも思い立った時にお散歩して美しいものに触れてもらおうと思います。
神戸は全国一とも言われる『野外彫刻の街』です。そのきっかけになったのは、1968年(昭和43年)に始まった「須磨離宮公園現代彫刻展」でした。その後、「神戸具象彫刻大賞展」も実施され、その優秀作品が市内に設置されました。街を舞台に飛び出していった彫刻たち。「花と彫刻の道」(新神戸フラワーロード)、「みどりと彫刻のみち」(神戸文化ホール~神戸駅)の他にも、講演や広場に約500点が設置されているんですよ。
それらの中でも、とりわけ私が気に入っている作品は、東遊園地の南東の端にある「虹の石」という彫刻です。‐虹の足というのはふ確かに美しき‐という後藤比奈夫さんの句が黒い御影石に刻まれています。32年前に完成したそれは、手水鉢のようにくり抜かれていて、溜まっている水の底の俳句に気が付いて足をとめる人は、ほとんどいません。景色の中に同化しさりげなく置かれているため、作品とは気づかないのかもしれません。 私は、税関前からフラワーロードの西側を歩く時には、木陰にひっそりと在るこの「虹の石」の水面から目をこらして句を眺めるのを愉しみの一つにしています。美術館なら触ったりできないような作品に、目の前で食堂を営む人が布巾をかけていたり、また、腰掛けていたりという光景をよく目にします。そんな光景を目にする時、私はなんと贅沢な街に暮らしているのだろうかと感じます。
神戸は、街全体が美術館のようなもの。自分だけのお気に入りの彫刻を探してみて下さいね。

2013-3-22