北野町を歩いていると、メインストリートの北野坂や路地裏、またお洒落な店先にオリーブが植えられていることに気がつきました。
「オリーブを北野町のシンボルにしよう」と2013年から北野地区の住民の方々が取り組んだ結果、こつこつと増やし続けたオリーブの木は今では100本を越えました。
さて、北野町とオリーブの関わりを調べてみると、国内初の「国営神戸オリーブ園」が、外貨獲得のため北野に開園されたのは1879(明治12)年です。
約3000坪の敷地に、550本のフランス産のオリーブやゴムやレモン、ユーカリ、オレンジ、ブドウなどが植樹されましたが、特に北野の土壌に適応したオリーブだけがよく育ち、開園5年後には「神戸阿利襪園園」と改称されました。
開園から3年後には、国内で初めての食用油の搾油(さくゆ)に成功しています。しかし、西南戦争の影響を受けて政府の財政難から民間に払い下げられ、1896(明治29)年には閉園になっています。
オリーブ園の正確な所在地は長い間不明でしたが、神戸大学名誉教授の中西テツ先生が平成12年から地道な調査を開始、トアロード沿いの神戸北野ホテルや周辺にオリーブ園があった事がわかったのは、3年後のことです。
2015年6月2日、神戸北野ホテルの敷地に、往時の様子を伝える案内板と記念碑が設置されました。
当時の、ゆかりがあるとされるオリーブの一本は、今でも湊川神社にあり、見上げるような大木になっています。
その湊川神社の枝を接ぎ木した3本のオリーブ苗も植樹されています。
2015-6-26